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巴と友達と家族の関係
「嘘でしょ?ここが蓬来さんの家?」
苺はあ然とする。
今は苺が居るし、巴はだて眼鏡のままリムジンの中で髪だけ櫛で解いていた。
苺は後から降りる巴を見る。
ぐしゃぐしゃに見えた髪はすとんと降りていて、眼鏡をしても雰囲気が少し違う。
「どういう事?」
苺は呟く。
「巴、光、前行って」
梓は二人に先に行かせる。
「私達は後ろ」
二人の後をついていく感じになる。
「あ、眼鏡を外した?」
だが、顔は見えない。
「ただいま帰りました」
巴が言うとお手伝いさんとスーツの女性、それから着物の男性が現れた。
「巴、お帰り」
「お帰りなさいませ」
父親らしき男性とお手伝いさんが言う。
巴がただいまと返すと、今度はスーツの女性が口を開いた。
「久しぶりね、せいぜい高校の間仲良くしてやって頂戴」
瞳は玄関で出迎えると言った。
「お邪魔します」
光と梓はありきたりに言うと、家の中に上がる。
瞳はさっさときびすを返し、奥に行ってしまった。
「松宮さん、こっちよ」
梓は素っ気なく言う。
苺が瞳の去った方を見ていたのだ。
「あ、はい」
苺は慌てて靴を脱ぐと、三人についていった。