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友達ではない者
苺はリムジンに乗って早々メールする。
勿論、急用だと断る内容だ。
それにしても、勿論初めてリムジンに乗る。
長いコーナーソファーは、四人で乗っても広すぎる。
巴と光は梓の指示で苺と離れる。
一方苺は梓の隣、奥で楽しそうな二人の邪魔をしようにも梓が居るのでできない。
「あなた、図々しいのね。普通、屋上の一回で輪に入れない事に気付く筈よ」
「何故ですか?」
苺は笑顔で問い返す。
梓は一部の人間には憧れられている。
だから近づきたい人物の一人だった。
だが、苺にとって梓は警戒対象に変わる。
「雰囲気でわからない?」
「私は瀬尾さんと仲良くなりたいだけです」
苺はやはり笑顔で言う。
「そう、好きにすればいいわ。ただし、それは私や巴が居ない時にして頂戴」
つまりは、本当に仲の良いグループには入るなという事だ。
「何で、あんな子と仲良いのよ」
苺は呟く。
「地味な子なんて光様には似合わないのに…」
だが、そう言った苺の言葉に梓はなにも答えなかった。
いや、答える気が無いのだった。