どうしよう、友達…
誰が良いだろう、仲の良いフリが出来、媚びを売りそうでなさそうな人は。
そう考える。
巴は友達がいない、作らない。
なので評判も悪い。
本来なら気にしないのだが、それが仇となるとは。
「蓬莱さん、先生が呼んでるよ」
瀬尾光が巴に言う。
光は元々教室に居た。
その彼女がクラスメートに呼ばれて廊下に出た直後だったので、その子が頼んだのだろう。
今はそういうパターンが多いのだ。
巴はどうせ荷物運びだろうと、職員室へ向かった。
「蓬莱、良いお母さんを持ったな!」
突然の言葉に面食らう。
お母さん、そう言ったので彼女が担任に接触してきたのだろう。
学校に来る筈は無いので担任の住まい近辺か呼び出したかだ。
見るからに媚びを売りそうなのであまり知られたくは無かった。
「会ったんですか?」
「あぁ、あんな有名な人がお母さんだなんて先生知らなかったぞ!言ってくれれば良かったのに。蓬莱、ちゃんと蓬莱の事誉めたからな!」
まるで善人ぶって、良いことをした様に担任は言う。
恐らく、教師にはすぐ広まるだろう。
「先生、その事は広めないでください。もし、先生がそんな事したらお金貰える確率減りますよ。用事が無いなら失礼します」
巴は言うと、教室を出た。
担任は顔が青ざめていた。
結局、それより前に広めていなかったのか担任の態度以外は変わらなかった。