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友達離れ
月曜日、光は不安がいっぱいだった。
お泊まりの次の日、巴は早々に帰っていったのだ。
光は話す間もなく巴と別れた。
「光、朝食食べたら帰るんだよ」
梓に言われ、光も朝のうちに帰らされたのだった。
「巴!おはよう!」
光は明るく挨拶をする。
巴は光を一瞬見ると小説に目を落とす。
「何?感じ悪!」
「せっかく瀬尾さんが挨拶してるのに」
クラスメイトが言うと、光はニコリとする。
「おはよう」
彼女の言葉に、クラスメイト達はおはようと返すのだった。
その後も、休み時間の度に邪魔が入る。
「巴、ご飯どうす…」
「約束があるから」
最後まで言い終える前に巴は答える。
「光、一緒に食べよう!」
「うん」
クラスメイトに言われ、力なく頷いた。
教室から出たが、影から光が席につくのを見届ける。
そして歩き出した。
「蓬莱さん」
巴が到着すると、彼女は既に居た。
「島崎さん、待たせてごめんなさい」
巴は言うと座る。
そう、約束相手とは梓だった。
二人は光が引き合わせるまではお互い教室で一人で食べていた。
「うるさくないね」
梓はポツリと言う。
元々二人は静かな部類だ。
それをいつも光が明るくしていた。