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友達への忠告
「瀬尾さん、お願いがあるの」
巴は真剣な眼差しだった。
「もし義母さんがお金を渡したら、受け取って。そうしないと、あなたは破滅するわ」
巴は冗談は言わない。
つまり、彼女の言っている事に嘘は無いという事だ。
「巴、どういう事?」
「彼女、高木瞳は私に心からの友達はいらないと考えてる。だから、彼女の意に沿わない事があると妨害する筈」
「思い通りにならないと気が済まないって事?」
「そうよ」
「まさか、母親でしょう?ちゃんと巴の事考えてるって!」
光は巴の言葉に混乱していた。
頭を冷やそう、光はそう考える。
「私、ちょっとトイレ行ってくる」
「わかったわ」
巴が返事をすると、光は部屋を出た。
溜め息をつくと食事での会話を思い出す。
巴の母は巴の事よりも光自身の、光の家族の事を聞いてきた。
会話自体は短かったが…、光は首を横に振り考えるのをやめる。
「気のせい気のせい!」
だが、それは打ち砕かれる。