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食事の席
「巴さん、高校出た後はどうするのですか?」
「大学に行くつもりです」
「結婚は?」
「まだ先でいいでしょう?」
巴に智と結婚してほしくない瞳は、蓮との結婚を勧めようとする。
そもそも巴は、蓮も智も好きではないのだ。
「蓮さんと結婚しなさい」
「まだするつもりはありません」
その言い合いに、父は苦笑いするのだった。
「巴」
会食終了後、立ち去ろうとする巴に父は呼び止めた。
「何ですか?」
「巴。結婚は別として、卒業後どうするつもりだい?」
その言葉に、巴は少し驚いた。
もっと後、家で問われるならともかく、このタイミングで聞いてきたからだ。
「普通です。さっき言った通り、大学に行くつもりですよ」
「良かった、せめて大学には行って欲しいからね。行きたい大学があったらいつでも相談待ってるよ」
父はそう言うと、巴の元を去った。
彼は瞳と今晩は過ごすらしい。
「疲れた」
巴は呟くと、車に乗り帰っていった。