100/113
見合いの二人
昴はチラリとお付きを見る。
彼は監視係でもあり、等間隔でついて来ていた。
「今は無理ですね、後日会えますか?」
「構いませんが…」
梓はそう答えるとアドレス交換をした。
「戻りましょうか」
「わかりました」
特にあまり会話をせず、二人は戻った。
「梓さん!」
昴は大きく手を振って近づいて来た。
隣にはそこら辺に居そうな女性を連れている。
「?」
「彼女は夏野栞、俺の彼女です」
「??」
梓は更に混乱した。
昼前、梓は昴に昼食に誘われて待ち合わせ場所に来ていた。
「どこへ行くんですか?」
「完全個室の居酒屋です。とっても美味しいんですよ」
栞は言うと、梓に微笑みかけてくる。
「あの…」
「庵くんのお友達なんですよね?」
「あぁ、はい」
それで昴が自分の事をどし紹介しているのかがわかった。
昴は栞と楽しそうに喋りながら歩く。
その様子は、そこら辺にいるカップルと変わらない。
そんな二人の後ろを梓はただついていくだけだった。