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友達と家族で食事を
「初めまして、あなたが巴さんのお友達ね」
玄関を開けるとそこには雑誌で見かける顔、高木瞳が居た。
巴と光を数人でお出迎えだ。
「瀬尾光です、よろしくお願いします」
「こちらこそ、光ちゃん」
まるで雑誌用の作り笑顔を貼り付けた様な瞳、それは巴の親だと感じさせない。
「昼食がまだでしょう?用意してるわ」
瞳は告げると、問答無用で歩き出す。
その場には、巴の父も居た。
巴と巴の父は無言で食べる。
「あなたのお家はどちら?」
「利休です」
「ご両親の会社は?」
「父は鳴海物産に、母は専業主婦…」
「光!」
黙っていた巴が慌てる。
それは、光が家族の仕事先を喋ったからだ。
だが、光はそんな事知らない。
「どうしたの?」
珍しく声を荒げた巴に、光は訝しげにした。
だが光の事など瞳にすれば聞かずともわかるのも事実、時間の問題だった。
巴は立ち上がる。
「失礼します」
巴は言うと、光の手を掴んだ。
「ちょっ!ごちそうさまでした!」
光は巴に引っ張られながらもそう言って去った。
「本当、あんな子のどこがいいのかしら…」
二人が去った方を見て、瞳は呟いた。