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狩人目録  作者: マ・ロニ
無脊椎動物編
13/21

2-7蛸巻貝狩人

 蛸巻貝オウムガイ狩人


 大蛸巻貝(オウムガイ目オウムガイ科)

 体長   二百センチ程度(角を含む)

 営巣場所 洞穴内の湖底(深度の深い場所)

 食性   腐肉食性


 巻貝に住み着く蛸のような生き物を称して蛸巻貝とこの地方では

呼ばれる。いわゆるオウムガイである。大蛸巻貝は特定の洞穴内の

湖底に住み着く。この洞穴は大概狩人組合に管理されている。


 狩人組合では、幾つかの生体が「希少種」として登録されている。

希少種が発見され狩りを行う場合は大抵抽選により狩りの権利を取

得することになる。昆虫系では「宝飾亀虫」が代表格と言える。


 大蛸巻貝は希少種の中では特殊で、営巣地が判明しており、乱獲

をしなければ定期的に数を確保できる生体数が生息している。

 よって、狩人組合も抽選制度を組み込まず、狩りをする為の「狩

猟料金」と、生息地内に入る為の入場料金を支払えば狩りをするこ

とができる。


「密猟被害を出さないために、洞穴の入口は狩人組合管理の拠点が

築かれています。そこで、狩猟料金を払った際に狩人組合で渡す鑑

札を見せ、更に別途洞穴への入場料金を支払います。これらの料金

は拠点の整備や、門番たちの給料と、狩人達の救援費用として取り

扱われています」(狩人組合担当者談)


 様々な料金を掛ける理由は幾つかある。希少種として扱われる大

蛸巻貝の殻は、法具の触媒として優秀なことから高い取引価格で扱

われる。その為、乱獲を防ぐための制限としての面が一つとしてあ

げられる。

 又、大蛸巻貝の体長は二百センチ程度と大きく、しかも湖底に住

むため水中での狩りを強いられる。相応の実力がなければとても太

刀打ちできない生き物である。

 さらに、この生物が住む洞穴の湖底はかなり深度の深い位置にあ

り、行き着くだけでも数日かかる。無論洞穴内には、他の危険な生

物も生息している。


 実力の無い無謀な狩人達から、無駄な犠牲者を出さないようにす

る必要性から、相応の金額を支度できなければ狩りができない仕組

みを作り上げたと言う面もある。


「その他にも、洞穴内を探索するための準備費等で金はかさむ。そ

れでも獲れた時の素材取引料金はおいしいものだ。さすがに、2回、

3回と狩りを失敗させるときつい所はあるがな」(蛸巻貝狩人談)


 大蛸巻貝は、「蛸」の名が付くが触腕は八本より多い。無数にある

と言って良い程だ。その触腕を利用し、獲物を水中で絡め取り締め

上げ殺してから、営巣地に持ち込み腐らせてからじっくりと食する。

触腕に捕らわれると、人では抜け出せることは、まずない。


 蛸や烏賊と違い、墨を吹くことはない。しかし、体内に水を取り

込み噴射しながら水中を移動する。その噴射も直撃すると、水中の

中で吹き飛ばされてしまう。


 狩りの方法は、現在2種類あり、ひとつは体に命綱を付け湖底ま

で潜り、班員と交代しながら狩り続けるという方法だ。2〜3名程

度の班員が湖底に潜り息が続く限り攻撃を加える。命綱が引かれた

ら、湖畔に残った班員が引き上げ交代する。班構成員の能力が全体

的に高くないとできない方法だ。


 2つ目は、太い縄に洞穴内で捕獲した獲物から作り上げた餌を鉤

爪に付け、鉤爪を縄で括り湖に投げ込み、大蛸巻貝を釣り上げた後

で、班全体で攻撃を加え捕獲する方法である。

 この方法は、獲物を湖底から釣り上げるため、水の中で戦う危険

性がなくなる点が良い点である。一方で、釣り上げるまでに時間が

掛かる又は釣り上げに失敗する可能性があることが悪い点と言えよ

う。


「最近は釣り上げ式が主流だと思う。やっぱり相手が有利な水中で

戦うよりかは、こちらに有利に陸の上で戦った方が命の危険性が減

るからね。でも、完全に危険性はなくなるわけではないね。釣り上

げ式は、力の強い連中を多くつれていくから術士系より近接攻撃系

の狩人が増える。陸上では速度が減るけど、あの触手に捕まれば逃

げ出すのは不可能だからね」(蛸巻貝狩人談)


 釣り上げ式の最大の失敗は、釣り上げるどころか逆に引きずり込

まれた時である。この際は、水中で蛸巻貝に捕らわれる他に混乱し

て溺れて死んでしまう事もある。いずれにしても、楽な狩りではな

い。


 蛸巻貝を狩猟料金等を払わずに狩る方法が一つだけある。彼らの

生息する洞穴湖を最初に発見することだ。

 素材取引きの為に狩人組合に狩り獲った獲物を出す必要があるた

め、一度きりになってしまうが、素材取引料金とは別に、新規発見

報奨金も支払われるため、発見者達の懐にはかなりの金が転がり込

む。


 しかし、忘れてはいけない。彼らの住む洞穴の湖底は深い場所に

あり、その洞穴を探索するだけでも命懸けの作業になるということ

を。


「我々としても、発見者には最大限の報奨金を与えることでねぎら

いたい。新たな資源産出地を発見したに等しい価値があるからだ。

又、危険を顧みず探索を続けたその勇気を称える意味もあるという

ことだ」(狩人組合長談)








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