第3部剣の道2
新しく「青春もんすたぁっ!」と言う作品の執筆を開始しました!そちらもよろしければお願いします!
クライゼルと別れたあと、少年も街に戻っていた。
時刻も昼過ぎを回っていて、街は昼飯を済ませた商売人や人足達の活気で溢れている。
ここは端街。
中心街ほどきらびやかでもなく、かと言ってスラム程に煤けてはいない場所で今の二人が宿を取っている地域だ。
中心街の兵宿舎で元々寝泊まりしてたのだが、二人住むには狭かろうと宿をこちらに移したのだ。
何かと中央に用事のあるクライゼルには不便かも知れないが、少年はこの地域の気取らない空気を気に入っていて、街の住人達とも交流する機会が多い。
「くそ重めぇ……」
先ほどまで振っていたクレイモアだが全身を使って振り抜くのと直線的に運ぶのとは違う、少年の出来てない身体ではそれは結構重労働だ。
と言うかこの1ヶ月間思っていた事だが、何故クライゼルは自分への武器にクレイモアを見立てたのか分からない。どう考えても体格と剣が釣り合ってない。
クレイモアのような大型の両手剣より普通に片手持ちの武器のほうが幾分も軽いし自分には合っているはずなのだがクライゼルは頑なにそれを突っぱねてきた。
(そりゃあいつが使えと言うんだから理由はあるんだろうけど……)
狙いが良く分からない。
単純に筋力強化狙いというのもあるだろうがそれだけじゃない気がする。それだけが目的ならば素直に薪割りや走り込みの方がよほど効果があるし第一型まで教え込む必要はない。ぶんまわしてるだけで充分身体は鍛えられるだろう。
……グゥ~……
少年の腹がなる。
朝からぶっ通しで修行してきた育ち盛りの身体は、もはや耐えきれない程の空腹を迎えていた。
(宿屋に戻ればメシはでるけど……)
チラリと回りを見渡すと、串焼きやらバケットに具を挟んだものやらの出店がある。
少し我慢すればよい話だが、串焼屋の甘辛いタレの焦げる臭いが少年の鼻をくすぐり、胃袋を誘惑してやまない。
(もう無理っ! )
少年は腰のポーチに手を突っ込むと、銅貨を二枚取りだし、串焼屋の屋台に叩きつけるようにおいた。
「ねぇちゃん!串焼くれ!」
少年の勢いに、一瞬ビクッと店員だがその表情を見て頬を緩ませる。
目をキラキラと輝かせ、まだかまだかと串焼を見つめるその姿はまるでわんぱくな子犬を連想させる。
「そんな大きい声で言わなくても聞こえてるわよ、もう少しだけかかりそうだから待ってね」




