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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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頼まれたから対応しただけだというのに、そんなことを言われるとは思いませんでした……。

「なぁ、この積み木、積んでみてくれね?」


 婚約者デヴィオスにそんな風に頼まれたので「いいわよ」と応じ指定された積み木を一生懸命積んでみていたところ。


「お前座り方ダサすぎ。婚約破棄するわ。そんな座り方するやつと結婚とかぜってー無理だわ」

「え」

「いやだから婚約破棄するって」

「ま、待って。何を言っているの。あまりにもいきなり過ぎて理解できな――」

「黙れよ、うぜえな」


 ……は、はああああ?


 積み木を積んでほしいの頼まれて。

 何とか力になりたいと思い懸命に積んでみて。


 それで、婚約破棄!?


 いやいや、それはさすがに、意味不明すぎるよっ!!


 ――と言いたいところだがここでそういうことを言い返すと状況がより一層悪化しそうなのでやめておいた。


「座り方きたねぇ女とは結婚したくねえわ」

「貴方のために積んでいたのよ」

「は? 俺は積み木を積んでって頼んだだけ。そんな変な座り方しろなんて一回も言ってねーよ。だろ? なぁ?」

「私はただ貴方のために」

「黙れよ! うるせえんだよいちいち! 偉そうな口の利き方すんなよ! なあ! なあ! あのなぁ、ちょっとは頭使えよ! そんなんだから捨てられんだよ! それすらも分かんねえってか? なぁ? ばぁぁぁぁぁかぁぁぁぁぁぁ、か? お前は? 馬鹿なのか? 馬鹿かよ?」


 ああそうか、彼はもう私を欠片ほども想ってはいない……。


「じゃあな、バイバイ。ばあぁぁぁぁぁぁぁぁぁんぁぁぁぁぁぁぁぁかあああぁぁぁぁぁぁぁぁなやつは泣いとけやぁ。ギャハハハハ!!」


 私と彼の関係は終わった。



 ◆



 婚約破棄の翌日デヴィオスは亡くなった。

 家の近くで落石事故に巻き込まれたのだ。

 突然の事故によって意識不明となってしまった彼は病院に搬送されるも間もなく死亡が確認された。


 あんなに心ない言葉を発してきていたデヴィオスがどうなろうが何とも思わない。


 話を聞いて改めて落石事故の怖さを感じはした。


 だが彼を可哀想だとは思わない。

 なぜなら彼は人の心を平気で傷つける悪しき人間だから。



 ◆



「栗きんとんください!」

「はいっ」

「待ってますね~」

「すみません、お願いします」


 私は今、遠い国から入ってきた品々を売る店を営んでいる。


「お饅頭三つ欲しいです」

「はい! しばらくお待ちください!」

「分かりました、急ぎません」

「お気遣いに感謝します」


 店はかなり繁盛している。


「こちら、栗きんとんになります」

「ありがとうございます~」

「二箱まとめておきましたので」

「助かります~」


 日々忙しいけれど不快感はない。


「お饅頭三つ、お待ちの方!」

「私です」

「こちらでお間違いないでしょうか?」

「はい、はい、そうですね、問題ありません」

「ではお渡しします」

「ありがとうございます」


 やりたいことをやれている。

 それだけで日常は輝く。

 そしてそういう時人はどこまでも真っ直ぐに希望を信じて歩んでゆける。



◆終わり◆

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