婚約破棄されましたがやりがいのある道に進むことができました!
晴れやかな空が綺麗な日のこと。
婚約者である彼ターロゥに呼び出されたので指定場所であった川の近くへ向かった。
そこへは徒歩数分で到着できる。
なので、指定場所へ向かうこと自体はそれほど大変なことではない。
「よ、来てくれたみたいだな」
私が到着した時、彼は既にそこで待っていた。
「ええ、来たわ」
「大事な話があるんだ」
「大事な……?」
「ああ」
「大事な話って何かしら」
彼は僅かに間を空けて。
やがて心を決めたように口を開く。
「あんたとの婚約、破棄することにした」
ターロゥははっきりと言った。
「空がこんなに綺麗な日に婚約破棄って……なんというか、複雑な気持ちだわ」
「関係ないだろそこは」
「する側はそうなのかもしれないわね」
「は? 馬鹿にするなよ。俺は何も知らない馬鹿人間じゃない」
今にも噛み付いてきそうなターロゥを目にして呆れ、思わず「そういう話じゃないでしょ……」とこぼしてしまった。
だが実際そうだろう。
馬鹿だとか。
馬鹿じゃないとか。
はじめからそんな話はしていない。
「ま、いいや。じゃな。ばいばい」
彼は一方的に私を切り捨てた。
◆
あの突然の婚約破棄から一週間。
ターロゥは亡くなった。
増水した川の様子を見に行って流されてしまったのだそうだ。
……あまりにも呆気ない最期だったようだ。
◆
あれから数年。
勤めていた服屋の店主に気に入られた私は、二店舗目の店長に抜擢された。
そして今は店長として忙しくしている。
まだまだ未熟なところは多い、けれど、学びながら懸命に働けば怖いものはない。
周りに支えられながらではあるけれど何とか上手くやっている。学びを得ながら働くというのは楽しいことだ。
今、私の日常はとても充実している。
◆終わり◆




