趣味である読書の時間をより良いものとするために王都の本屋へ出掛けていたのですが……?
趣味である読書の時間をより良いものとするために王都の本屋へ出掛けていたところ、婚約者である彼ヴァヴァンに街中でばったり出会った。
「お前……どうして、こんなところに」
「本屋さんを見に来ていたんです」
「女性が一人で遠出するなど! あり得ない! なんというみっともない行為……そのような救いようのない女と共に歩むことはできない! よって、婚約は破棄とする!」
自然な感じで挨拶するくらいのものかなと思っていたら、そんなことまで言われてしまって。
「ああ、まさかお前がこんなにみっともない女だったとは……悲しい、俺は、非常に悲しい!」
「待ってください、婚約破棄ってどういうことですか? 本気で仰っているのですか?」
「当たり前だろう! 俺は本気のことしか言わない!」
「そう、ですか……」
「一人で遠出するようなみっともない女性と結婚するのは俺には無理だ! そのような女と共に生きてゆくなど不可能だ!」
驚くくらい呆気なく切り捨てられてしまったのだった。
◆
あれから数年。
私は今とても幸せに暮らしている。
結婚はしなかった。
けれども王立図書館で働いているので充実した日々のただなかに在る。
大好きな本を通じて様々な人たちと関われるこの仕事は私にとっては天職。元々好きな分野の仕事だからこそ、忙しい日が続いても前向きであり続けることができるのだ。
私はこれからもこの道を歩んでいくつもりでいる。
本を通じて多くの人と関わってゆけるなら……そんなに幸せなことはない。
ちなみにヴァヴァンはというと、私に婚約破棄を告げた翌日家の近くを散歩していて事故に遭ってしまったそうで今も意識不明のままだそうだ。
◆終わり◆




