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私、信じていたの。貴方のこと。
私、信じていたの。
貴方のこと。
二人でいれば幸せな未来を掴める、そう信じていられた頃は幸せだった。
あの頃私は何の躊躇いもなく足を動かせた。
だって貴方がいたんだもの。
大切な人、愛しい人、そういう存在が傍にいてくれるなら怖いものなんて何一つなかったわ。
どんな嵐にだって立ち向かえる、と。
どんな山も越えてゆける、と。
曇りのない瞳でそう思うことができたから。
貴方さえいてくれればそれでいい、そう思って歩んでいたあの頃、私はとても幸福で。勇気はこの胸に無限に溢れていて、どれほど険しい道でも進んでゆけると信じていたの。
……ああ、どうして、どこで道を間違えたのかしら。
私はただ貴方を愛していただけ。
それなのに二人の道は少しずつずれていって。
気づけば徐々に広がっていく距離。
隣り合って笑えた時間の輪郭はぼやけていくばかりで。
傍にいてほしかった。
私の願いはそれだけだった。
でも貴方は……。
私、信じていたの。
貴方のこと。
二人でいれば幸せな未来を掴める、そう信じていられた頃は幸せだった。
◆終わり◆




