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信じていた。
冷たい雨が降り注ぐ。
今は無数の水滴が身を濡らす以上に心を濡らし凍り付かせてしまう。
裏切りは突然だった。
終焉に前触れはなかった。
前もって少しでも想定できていたなら、きっと、少しは心情も違っていたことだろう。けれども備える時間は与えられず。それゆえ受けた衝撃は大きくて。信じていた自分が愚かに思えて仕方がなくて、何もしていなくても涙が溢れてきそうになるほどに心は揺れ乱れる。
誓いを信じていた。
愛を信じていた。
それでも絶望という嵐は突然迫ってきて。
逃げる間もなく私のすべてを呑み込んだ。
……どうしてこんなことになってしまったのだろう。
何度も繰り返す問いはそれだけ。
信じていた。信じたかった。でもそれはもう叶わない夢。夢は所詮形なき夢、幻影でしかなかった。そして、ただ純粋に真っ直ぐに信じようとしていた頃の私の心を救ってくれる者はどこにもいない。
激流の先に在るもの、いつかたどり着くその場所に、今はもう希望を見ることはできない。
今はただ、力なく流されるだけ。
静寂の痛み。
雨粒の冷え。
ああ、そうか、私は……。
◆終わり◆




