私が傍にいれば貴方はきっと助かったでしょう……残念でしたね。
迫りくる魔物を――斬る!!
湿った空気に満たされた洞窟内で剣を手に戦う。
時に不安の波に襲われることもある。
けれどもそのたびに「そんなものには負けない!」と心を強く決めてより一層真っ直ぐ戦いに打ち込む。
幼い頃から剣で戦うことが好きだった私は、周囲からはいつも変わり者と言われていた。
可愛くない、とか。凶暴すぎ、とか。そんな風にばかり言われて。
しまいには婚約者だったにまでそれを理由に婚約破棄宣言されてしまったほどだった。
けれども私は私が信じる道を歩んできた。
好きなこと。大事なもの。それらを他者のために曲げるようなことはしたくなかったから。
私は私、それでいい。そう思って生きてきて。その結果剣士としてはそこそこ成果をあげることができた。
今は魔物退治を主な仕事とする剣士としてそれ一本で生活できている。
女性はほぼいない環境ではあるけれど、それでも私が存在することを許してくれている周囲の人たちには感謝している。
『お前みたいな野蛮な女は誰にも必要とされねえんだよ! 無価値なんだ!』
あの時、婚約者だった彼が放ってきた言葉。それを忘れることはない。当時の私は傷ついたから。傷つけられた時のことは忘れない。あの頃の悲しい気持ちは今でも思い出せる。ただ、それに縛られることはもうないけれど。
それに、彼が言ったことは間違いだった。
私の存在に価値を見出してくれる人は少なくない。
懸命に戦うことで褒めてくれる人や感謝してくれる人がいるのだから、そんな私が無価値なはずがない。
自分は凄く価値のある存在だ! ……なんて、偉そうに言うつもりはないけれど。
ただ、自信だけは失わないようにしようと思う。
生きている価値はある。
そう信じて歩みたい。
傷つけるようなことを言いたいだけの人の言葉に根底から崩される必要などないのだから。
「お待たせしました! 救助に参りました!」
「あ……ああ、う……ううっ、ありがとう、ございます……」
「もう安心していただいて大丈夫です」
「良かった……! う、うれ、しい……ですっ……。ありがとう、ござい、ますっ……!」
落ち込んでいる暇はない。
心折れている時間はない。
誰かを救うため、私は戦う。
ちなみに元婚約者である彼はというと、私との婚約を破棄して数週間が経った頃魔物に襲撃されたらしく命を落としてしまったそうだ。
◆終わり◆




