婚約者が見知らぬ女性を連れてやって来たうえ婚約破棄を告げてきました。~身勝手な彼らに明るい未来はないでしょう~
「悪い、実は……君との婚約は破棄して彼女と結婚することにしたんだ」
見知らぬ女性を連れて婚約者ププトウルがやって来たのは、ある昼下がりのことだった。
「え、っと……その、それは一体、どういう?」
「僕は彼女を愛してしまったんだ。だからもう君を愛せないし君と結婚するのだって無理。そういうことだよ」
そこへ女性が口を挟んでくる。
「あなたがププさまの婚約者さん? こーんにーちはっ。あたし、リリアンっていいます」
「そうですか」
「あたし、あなたよりも魅力的で。だから愛されちゃったんです。ごめんなさーいねっ? あ、怨むなんて駄目ですよ。あたしの方がずーっと魅力的だったっていう事実は変わらないんですから、それで怨んだりしたらあなたはもっともーっと価値のない人になっちゃいます!」
リリアンはこちらがほぼ何も言っていないにも関わらず話し続ける少々面倒臭い感じの人だった。
「ねっ、ププさま」
「ああ……そうだな。魅力的なのはリリアンだけ、他の女に興味はないよ」
「ほらね!」
ププトウルとリリアンはなぜかやたらといちゃついている。どうやら関係の近さを私に見せつけたいようである。特に、リリアンが。恐らく彼女はそういうことをすることによって私を追い払いたいのだろう。そんなことしなくても離れてあげるのに、と思ったけれど、それは口からは出さないでおいた。
「ではこれにて。急で悪かったね。さようなら」
◆
あの後私は二人に慰謝料を請求した。
はじめ彼らは逃げきろうとしていたけれど、父の知り合いでそういうことに詳しい人がいてその人に協力してもらったところ、それぞれから何とか慰謝料を支払ってもらうことができた。
厳しい状況の中でも救いであったのは、二人の両親はそれなりにまともな人であったということだ。本人たちは自分勝手の極みのような人だった、でも、親はそれよりかはずっとましな人たちだった。なのでその人たちにも力を貸してもらうことができ、結果、慰謝料をしっかりともぎ取ることに成功したのだった。
やることが済んだらもう彼らのことなどどうでもいい。
私は私の人生を歩むだけだ。
◆
ププトウルとリリアンはあの後すぐ破局したそうだ。
何でも双方の親が引き離そうとしたらしくて。
当人らは抵抗したが上手くいかず。
結局二人も喧嘩になってしまい。
そうして彼らは別れることとなったようである。
ププトウルはそのことを嘆いていたようだが、リリアンは破局後すぐに別の男性と仲良くなった。で、そのことを知ったププトウルがより深く絶望。そしてやがてププトウルはリリアンを襲って。彼はリリアンの命を奪ってしまったそう。
リリアンはププトウルによって落命させられた。
ププトウルはリリアンにしたことによって殺人犯となった。
……そんな感じで、二人の未来は明るいものではなかったようだ。
ちなみに私はというと。
婚約破棄直後から勤め始めた高級宿泊所の仕事で成功し、今は幾つもの高級宿泊所を所有及び管理することを生業としている。
忙しい日々ではあるけれどそこに苦しみはない。
今の仕事は天職であると思えるから。
◆終わり◆




