また、朝が来る。~どんな夜もいつかは明けてゆくものですね……~
また、朝が来る。
昨日までと変わらない日射し。
胸の中にじんわりと広がるような美しさ。
……実は、昨日、婚約者に捨てられた。
彼は本当の意味で私を愛してはいなかった。これまで婚約していたのは完全に形だけだったようで。そこに想いなど欠片ほども存在せず。何なら不愉快に思っていたくらいだったらしい。
と、そんな本心を打ち明けられて切り捨てられたのだ。
正直こんなことになるとは思っていなかったのでかなりショックだ。
でも、実際にそうなってしまった以上、それを変えることはできない。婚約破棄を告げられた、その事実は書き換えられないのだから。私一人の力でどうこうできる話ではない。
……ならば、前を向くしかない。
今は失ったばかりで心が痛いけれど、いつまでも落ち込んではいられない。
何とか、頑張ってみよう。
何とか、乗り越えてみせよう。
いつの日かは、きっと……。
◆
あれから三年、私は、幸運にも高貴な家柄の青年に見初められ結婚することができた。
こんなにも条件の良い相手と結ばれる日が来るなんて欠片ほども想像していなかった。が、現実は私に最高の結婚を授けてくれた。
おかげで今は幸せそのもの。
困っていることはなく、辛いこともなく、むしろ嬉しさや楽しさでいっぱい――そんな毎日を穏やかに堪能することができている。
ちなみに元婚約者の彼はというと、思考に異常が起きる謎の流行り病にかかってしまい落命したそうだ。
◆終わり◆




