冷たい雨が降っていた日、婚約破棄されてしまいました……。~もう、誰にも何にも縛られません~
冷たい雨が降っていた日のことだ。
日頃は滅多に関わってこない婚約者ディオルから急に連絡があって。
今から会いに行く、といったような内容で。
珍しいことに戸惑いながらも迎えたところ、彼は静かに告げてくる。
「君との婚約は破棄とすることにした」
ディオルの瞳は冷たい色を宿している。
「わたしはこれまで君と生きる未来について真剣に考えてきた。だが……どうしても希望が見えなかった。なのでこうすることにしたのだ」
「そう、ですか……」
「このまま関わり続けてもお互い良いことはないだろう。ならば別れるべきだと思うのだ。良い関係を築けそうにない者同士一緒にいるなど無意味の極み。……君もそう思うだろう? だからもうおしまいにしようではないか」
彼は最後まで冷ややかだった。
「ではな、さらばだ」
こんな形で終わりがやって来るなんて思わなかった。
でも仕方がないと思う部分はある。
これまでも散々放置されてきたのだ、それゆえ、急に切り捨てられたとしてもそこまで驚きはしない。
◆
――あれから二年。
私は今、親友が営むケーキ店で働きつつ、山登りという趣味に打ち込んでいる。
恋とか愛とか結婚とか。
そんなものはもうどうでもいい。
もちろん、そういったものへ興味を持っている人はそれでいいと思うし、そういった人の価値観を否定する気は一切ないのだけれど。
だが、私は私。
私はもう自由だ。
誰にも何にも縛られない。
ちなみにディオルはというと、女遊びのし過ぎで病気になり落命してしまったそうだ。
◆終わり◆




