それが起こったのは、新年を迎えた早朝、ちょうど朝日が昇ってくる頃でした。
新年を迎えた早朝、ちょうど朝日が昇ってくる頃に。
「お前との婚約だがナァ、破棄することにしたゼィ」
婚約者である彼ツバート・ロヴェンティヴェルヴィからそんな決定を告げられた。
「え」
「だ、か、ら、言ったじゃねぇカァ。婚約破棄、ってサァ」
「……いきなり過ぎない?」
「そんなこタァどーうでもいいんだヨォ! 大事なのは婚約を破棄とするってことダァ。その決定が一番大事なんダァ!」
朝日に照らされて美しく煌めく赤毛が印象的なツバートは真顔で言ってくる。
「お前とはこれ以上一緒に生きていく気ねぇんだヨォ。オケ? じゃ、そういうことなんでナァ。バアァァァアアァァァァィィィィイイィィィィィン!」
こうして新年早々私たちの関係は終わりを迎えたのだった……。
驚きはあった。
でも前を向こうと決めた。
私は私なりに幸せになってみせる。
◆
あれから数年、私は、りんご農家の青年のもとへ嫁いだ。
そして今は夫と共にりんごを育てている。
こんな未来が待っているとはあの時は想像しなかったけれど、でも、これは私が選んだ道だから選択を悔いることは決してない。
「お疲れ! クッキー置いておいたよ、リンゴチップス入り」
「え、最高……?」
「あはは、好きだよねリンゴチップス」
「大好き! 貴方が作ってくれるリンゴチップスは本当に美味しいもの。ドライなのに果汁感がある味わいで、食べるたび魅了される!」
「そう言ってもらえるとすごく嬉しいよ」
「クッキーとのコラボレーションとか嬉しすぎ!」
私はこれからも愛する夫と共に生きてゆくつもり。
なぜならその道にこそ幸福があると信じているから。
ちないにツバートはというと、あの婚約破棄の少し後に嵐の中で外出していて倒木に当たられてしまい命を失ってしまったそうだ。
◆終わり◆




