生まれつき運動神経が良かったのですが、そのせいで嫌われることもありまして……。
私は生まれつき運動神経が良かった。
女性であるにもかかわらず男性に近づけるほどの運動のセンスを持っていた。
だがそれによって常に幸せであれたかというとそうでもなくて。
婚約者である彼ローザンには特に嫌われてしまっていた。
「お前、相変わらず運動が得意らしいな」
「はい。そうですね。……何かお手伝いしましょうか?」
「そうじゃない!」
「え」
「俺はなぁ、お前のそういうところが嫌いなんだ! 女のくせに男に近いくらい動けるとか可愛くなさすぎるだろ!」
そしてついにその日がやって来る。
「よって、婚約は破棄とする!!」
わざわざ私の家の前までやって来た彼は胸を張りながら宣言してきた。
「お前には男を立てる能力がなさすぎる。それは女として大きな欠点だ。分かったか? 女が男と競うようじゃ駄目なんだよ」
「競ってはいませんが……」
「いいや競っている! そのくらい能力があるということは競っているということと同じ意味だ! 分かったか、では、関係はここまでとしよう」
そう言いきって、彼は道路の方へ歩き出す――が、凄まじいスピードを出していた馬車に激突された。
結果、ローザンはその場で命を落としてしまったのだった。
彼の最期はあまりにもあっさりとしたものであった。
◆
あの婚約破棄から数年、私は、女性初となる国防軍の幹部に就任した。
この数年とてつもない忙しさだった。
けれども自分の能力を活かせる場所に出会えたことは幸せだった。
私はこれからもこの場所で生きていくつもりだ。
◆終わり◆




