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婚約破棄されても、貴女が好き。それは今も変わらない気持ちだ。
婚約破棄されても、貴女が好き。
それは今も変わらない気持ちだ。
こんなことを言うと気持ち悪いと思われてしまうだろう。だからこの想いを貴女に伝えるつもりはない。否、貴女にだけではなく。貴女以外の誰かにだって、この胸に今も宿るものを伝えようとは考えていない。伝えたところで何かが変わるわけではないから。
この想いは自分自身だけのもの。
だから誰にも明かさない。
ただ、捨てる必要もないわけだから、いつまでもそっとこの胸の内に置いておく。
貴女の微笑み。
貴女の笑い声。
今はもうすべてが遠き日の思い出でしかない。
だがそれでも忘れたくない、たとえ二度と取り戻せないとしても――。
見上げるとそこに広がるのは青空。
公園に行けば目に入るのは可憐な花。
……あれもこれも貴女と共に見つめてきたもの。
ふとした瞬間に目の前に現れる貴女との記憶の断片は、切ないようで温かい、そんな気持ちを掻き立ててくれる。
ありがとう、あの日々。
ありがとう、貴女。
何度でも言うつもりだ。
たった一つの言葉、ありがとう、を。
思い出も。
想いも。
愛も。
すべてここに遺してゆく。
……では、さようなら。
◆終わり◆




