気分が良かったので鼻歌を歌っていたところ、たまたま家に遊びに来た婚約者に……からの、こんなことある!? でした。
その日、朝起きてから何だかとても気分が良かったので、深く考えずに家事をしながら鼻歌を歌っていたのだが。
「お前、鼻歌キモいな」
たまたま家に遊びに来た婚約者ディヴェールからそんなことを言われてしまい。
「いやもうかなりムリだわ。婚約破棄する」
平然とそんなことまで言われてしまった。
「こ、婚約破棄!?」
「そうする」
「鼻歌がキモいから、が理由なの?」
「そーそー」
「あの……申し訳ないけれど、それが理由っていうのはさすがにちょっと無理があると思うわよ?」
するとディヴェールは「黙れ!!」と攻撃的な態度を取ってくる。
「婚約破棄は婚約破棄、なんだよ! 決めたんだ! 決定は絶対だって、そのくらい分かるだろ普通!」
「落ち着いて」
「どうしてそんな馬鹿なんだよ!」
「落ち着いて話してちょうだい」
「ウザいんだよお前! てかさ、前から思ってたんだ。お前ってつまらないよな、しかも鼻歌キモいし。そんな女と結婚とかムリなんだよ! ムリムリムリ!」
彼は傍にあった傘立を意図的に倒して割るとそのまま去っていった――が、勢いよく道に飛び出していったためにちょうどそこへ走ってきた野生の馬に蹴り飛ばされ落命した。
(こんなことあるんだ……)
それが私の中に生まれた思いだった。
もちろん深い意味はない。
ただ単に驚いただけだ。
◆
あれから数年、私は十ほど年上の男性と結婚し、裕福な環境で暮らしている。
夫はとても良い人だ。
善良という単語の似合う人物。
なので私は彼を深く愛している。
◆終わり◆




