婚約者の家へ行った私を待っていたのは意外な展開でした!? ~解決して良かったです~
婚約者マルスベインの家へ行った昼下がり。
彼から借りていた本を返そうと思ってそこへ向かっただけだったのに。
「マルさまったら……積極的、ねぇ」
「あっはっは」
「もう、どうしてそんな、いちゃつきたがるのよ……?」
「あっははは」
マルスベインが見知らぬ女性を自室へ連れ込んでいるところを目にしてしまった。
「なんというか、今日……不思議なくらい大胆ね」
「あっはは」
「言いたいことがあるなら……言えばいいじゃないの? ね?」
「あっはっはは」
「んもぅっ……」
「あっはははっははは」
これは放置しておくわけにはいかない、と思い、勇気を出してそこへ突撃。
「マルスベイン、一体何をしているの?」
いちゃつく二人の前に出るのは怖い。一対二の状況におかれ、自分一人で言葉を発するのだから、怖くないわけがない。しかも内容が内容だからなおさら。
ただ、それでも私は言わなければならなかった。
これは二人の関係を壊すかもしれない事実。
だから無視しておくことはできない。
関係の根底を叩き壊すような行為を流してあげることなど不可能。
「なっ……り、リア、なぜここに」
「本を返しに来ただけよ」
「お、おい! 急に来るとかおかしいだろ! そういうことなら前もって言えよ!」
「怒らないで話して」
「……どこまでも鬱陶しい女だな」
マルスベインは不快そうな顔をする。
だがそんなことは私には何の関係もない。
悪いことをしている者が悪いのだ。
「それに。いつでも来ていい、って言っていたでしょ。だから来ただけ。私は間違ったことはしていないわ」
「ぐ、ぐぬぬ……」
「婚約者がいる身で他の女性といちゃつくなんて大問題ね」
「うぐっ……」
女性は引いたような顔をしている。
「マルさま……婚約者がいたの?」
「あっはっは」
「そうじゃない! はっきり答えなさいよ!」
「あっははは」
「笑ってごまかそうだなんて最低だわ! しかも嘘つきだったなんて……信じられない!」
女性はマルスベインの傍を離れ私の方へと歩いてくる。
「貴女が彼の婚約者の方なのですか?」
「……はい」
「そうでしたか。それは失礼しました。まさか彼が婚約者持ちだとは思わず……申し訳ありませんでした」
「ご存知なかったということですか」
「そうです」
「……そうだったのですね」
敵意を持たれているわけではないようでひとまず安心。
「では貴女に許可を取らせてください」
「許可? 浮気の?」
「いえ。……私にあの裏切り者の男を始末させてくれませんか」
「し、始末?」
「はい」
「そんなことができるのですか?」
「ええ、できます」
私はもう彼とやり直す気はない。
なら彼がどうなろうと知ったことではない。
「……ではお願いします」
すると女性は一礼し。
「分かりました」
短くそう答えてくれた。
――そして彼女は魔法一撃でマルスベインを仕留めた。
亡骸すら遺らない。
彼は完全に消滅した。
「終わりました」
「マルスベインは……亡くなったの?」
「いえ」
「どういうことですか?」
「彼は別の世界へ飛ばされたのです。地獄のような世界へ。ですから彼はこの先永遠に苦しい続けます……ずっと」
ああ、そうか。
なぜだから分からないけれどすごく納得できた。
マルスベインには罰が下ったのだ、と思うと、少し心が軽くなった。
女性とは和解した。
そもそも騙されていた彼女には罪はなかったわけだし。一応話し合いはしたけれど、その結果分かり合えたので、彼女については責めないでおくことを選んだ。
彼女が謝ってくれたということも大きかった。
ほぼ非がないにもかかわらずきちんと話を聞いてくれ謝罪もしてくれた彼女には感謝している。
その後私は資産家の親を持つ穏やかな男性と結婚。
温かな家庭を、優しい居場所を、しっかりと手に入れることができた。
◆終わり◆




