異なる道を選ぶ、なんてしなければ、貴方は今も生きていたでしょうに……でも仕方のないことですね。きっとそれが運命だったのでしょう。
「急ですまないが、君との婚約は破棄とすることとした」
婚約者である彼ディヴォスはある日突然そんなことを言ってきた。
「俺はもっと魅力的な女性と結ばれたいんだ」
「そう……ですか」
「君のことは嫌いではない。でも一緒にいたいほど好きでもない。なぜなら君がつまらない人間だからだ。君といても心躍る瞬間がない、それゆえ、俺としてはもっと別の女性と結婚したいという気持ちなんだ」
彼は平然とそんなことを言い。
「なので、君とはここで終わらせる」
これまで築いてきたものを叩き壊した。
「さよなら、永久に」
ディヴォスとの関係は悪いものではなかった。だから未来を信じていた。彼となら共に行けるだろう、と、そう思っていたのだ。ディヴォスも私を嫌っている感じではなかったし。絶対的な根拠があるわけではないけれど、二人の関係はこれからも穏やかに続いていくものだと、ぼんやりと考えていた。
でも終わりは突然やって来て。
彼と隣り合って歩む道。
それは突如崩れ。
すべては完全なる無となってしまった。
道を修復することなど不可能。
◆
婚約破棄された日からちょうど一週間が経った日、ディヴォスの訃報が耳に飛び込んできた。
聞いた話によれば、彼は、一人の女性に惚れてしまったために命を落とすこととなってしまったようだ。
私に別れを告げたその日の晩、早速張りきって街の酒場へ向かったディヴォス。彼はそこで一人の女性に出会う。セクシーな体型の彼女に惚れてしまったディヴォスは、何度も何度も話しかけたそうで。女性に拒否されても、それでもなお、話しかけていたそう。
その結果、怖い男の人を呼ばれてしまい。
そうしてディヴォスと男の人の話し合いが始まったそうなのだが、喧嘩になってしまい、激怒した男の人に手を出され――その際に負った傷によって、ディヴォスは落命することとなったそうだ。
ディヴォスは相手の気持ちを考えない人だった。
だからそんなことになったのだろう。
彼はもっと早く相手の顔色を窺いながら接するということを学ぶべきだったのだ。
相手の顔色を窺うばかりで生きていくのはしんどい。それは確かにある。機嫌取りばかりして生きていくのは間違っている、というのは、ある意味正しいことだろう。
だが、だからといって、自分中心しかない世界で生きていくというのは、それはそれで問題で。
自身がそれでいいならそれでいいのだろう。でもそれによって上手くいかなくなることは少なくない。己だけを突き付ければ大抵相手は反発するものだ、現実というのはそんなに甘いものではない。
◆
あの婚約破棄から数年、私は、穏やかな性格をした青年と結婚した。
今はもう迷わない。
愛しい人と生きる。
◆終わり◆




