「お前ってさ、あんま可愛くないよな」って、何ですかそれ!? そんなこと、婚約者に言いますか!?
「お前ってさ、あんま可愛くないよな」
ある日のこと。
婚約者である彼リーヴェンがそんなことを言ってきた。
「私?」
「ああ。なんでそんな垢抜けてないんだ。なーんかダサいよな」
「そんなこといきなり言われても……」
「いやでも事実じゃん?」
「だとしても、そんなこといきなり言われても困るわ」
「改善する気ゼロかよ」
「だから何なのよ急に。……もしかして何かあった?」
すると彼は。
「いやべつに」
と言ったうえで。
「お前との婚約、破棄するわ」
さらりと重大なことを宣言した。
「婚約破棄!?」
「だってダサいもん」
「見た目のことを言っているの……?」
「いや全部」
「全部!? ……でも、それならどうして婚約したのよ。あの頃から私は私だったでしょ。私が変わったわけじゃないのに……理解が追いつかないわ」
すると彼は舌打ちしながら「うるさいな、黙ってろよ」と言って、少し間を空け、わざとらしい溜め息をつきながら「なんにしてももう決めたんだ。婚約は破棄、これは絶対的な決定だから。変わることはないから」と躊躇うことなくはっきりと言ってのけた。
「可愛くない女とか無理なんだ。……じゃあな」
こうして私は彼に捨てられてしまったのだが――その数日後、以前喫茶店で一度話したことのあった資産家の青年から想いを伝えられ、共に生きる未来を見つめてみることとなった。
婚約破棄されてから一年と少しで青年と結婚。
私は穏やかな幸せを手に入れた。
非常に恵まれた環境で過ごせている。
資産家の青年――今の夫――彼は私に対して「可愛くない」なんて言わない。
むしろ逆で。
どんな時でも良い意味の言葉をかけてくれる。
だから常に彼からの愛を感じられている。
一方リーヴェンはというと、妹と喧嘩してうっかり転倒した際に後頭部を強く打ってしまい命を落としたそうだ。
◆終わり◆




