表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

120/164

貴女にはただ生きていてほしかった。姉として今でもそう思っています。

「また花を見つめてるの?」

「あ、お姉さま。ええ、そうなんです。このお花、とても綺麗ですよね」


 私には可愛い妹がいた。

 彼女はどんな時も姉である私を慕ってくれていた。


「お姉さまに差し上げます」

「え……い、いいわよ、そんなの。好きなんでしょ? だったらあなたが持っていて」

「いえ、いいんです。お姉さまのことはとても好きですから。好きなものはお姉さまに差し上げたいんです」


 澄んだ瞳をした彼女はどんな時も優しかった。


 本当に自慢の妹で。

 宝物のような存在だった。


 ――でも彼女は。


「貴様のようなダサい女に興味はない! よって、婚約は破棄とする!」


 婚約者に突然切り捨てられて。


「俺に相応しいのはもっと華やかな女だ。貴様じゃない。だからここでおしまいだ。ここまで面倒をみてやったんだ、感謝しろ」


 悲しみに溺れ。


「待って! どうして!? 飛び下りるなんてやめて!」

「……もういいんです」

「駄目よ! 死のうだなんて! それだけは絶対駄目!」

「お姉さま、今までありがとうございました」


 家の近くの崖から身を投げた。


 彼女は自ら命を捨てた。

 捨てる必要なんてなかったはずなのに。


 あんなに優しくて、あんなに善良で――そんな女性は滅多にいない。


 だからこそ生きていてほしかった。

 心ない言葉をかけてくる人なんて無視して。


 彼女は彼女のまま、彼女らしく生きていてほしかった。


 彼女を否定したのは婚約者だけ。一人だけ。それ以外の人は皆彼女を愛していた。姉である私はもちろん、両親も、友人も。彼女の良いところを知っていたし彼女を愛していたのに。生きていてほしいと願っていたのに。


 それなのに、彼女は逝ってしまった……。


 私は姉として彼女の一番近くにいた。

 けれども彼女の死を止められなかった。


 あまりにも悲しい――そんな最期だった。


◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ