婚約者が女性を連れてやって来て婚約破棄宣言してきました……。
「お前との婚約は破棄とする!!」
婚約者である彼リードンが女性を連れてやって来て宣言してきた。
「俺はこれから彼女と幸せになる、だからお前はもう要らない。お前とはここでさよならだ」
彼ははっきりとそう言った。
「そう、ですか……」
「ああ! そうだ! はは、がっかりしているな? ま、お前がダサかったことがすべての原因だよ。次の婚約者には捨てられないよう気をつけな!」
私たちの関係は突如終わりを迎えることとなった。
「行こう」
「ええ、そうですわねっ」
リードンはそれ以上は何も言わず、隣にいる女性と腕を組み、いちゃつく背中を見せつけながら去っていく。
どうやら彼は本当に婚約破棄宣言をするためだけにやって来たようだった。
しかもそのためにわざわざ女性を連れて。
そういうことを手間をかけてするということは、よほど自分の優位性を主張したかったのだろう。
「ああ……お前は本当に綺麗だな、あいつとは大違いだ」
「んもぉ。そんなこと言ったら失礼よ? 元婚約者さん、まだ近くにいるんだし、聞かれちゃってるわよぉ」
「そんなことどうでもいいんだよ!」
「あらそう……リードンったらぁ、残酷ねぇ」
二人は腕を組んで歩いていっていたのだが――門を出た辺りで急に姿が見えなくなる。
「え……」
思わずこぼした。
何が起きたのか理解できなくて。
だが少しして何が起こったのかを知ることとなる。
門を出てすぐの辺りに、子どもたちがふざけて作った落とし穴があったのだ。
昨日まではそんなものはなかった。そこは毎日通っている、だから確信がある。昨日の夜の時点で落とし穴はなかった、と。もし昨日やその前からずっと落とし穴があったのなら、既に私が落ちていたはず。でも落ちなかったのだから、やはり、現在に限りなく近い地点で作られた落とし穴なのだろう。
リードンは落とし穴に落ちた際に女性の下敷きとなり命を落とした。
一方女性はというと、自分のせいでリードンが落命したことに酷くショックを受け体調を崩し一日中ベッドの上で寝ていることしかできないような状態となってしまい、一ヶ月も経たないうちにこの世を去った。
思わぬ形で、二人は呆気なく命を落とすこととなったのだった……。
◆
リードンに婚約破棄を告げられた後、私は、知人が開いている病院に勤めさせてもらった。
そしてそこで掃除や手伝いをして気を紛らわせつつ暮らした。
婚約破棄された直後は一人になると余計なことを考えてしまいがちだったので働く時間があるというのはありがたいことだったのだ。
で、その後、私は親の紹介で知り合った男性と結婚した。
その男性とは共通の話題が多くあった。
なので最初に会った時からそれなりに気が合っていた。
彼と結婚できたことは幸せなことだった、と思っている。
◆終わり◆




