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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 6 (2026.1~)   作者: 四季


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結局、三人のうちで幸せになれたのは私だけでした。~ハッピーエンドはこの手の中に~

 私アロマは思いやりのある青年カインと夫婦となっている。


「カイン、ここのお皿洗っておくわね」

「いいよ! 僕が洗うし! そのままでいいよ」

「でも」

「アロマは休んでて」

「そうね……じゃあ別のことをするわ。お茶を淹れるとか」

「いやいや、それじゃ休んでることにならないから」


 かつて私には別の相手がいた。

 その人とは婚約していた。

 けれど彼は他の女性に惚れ込みやがて私との関係性を終わらせた。


 そんな理不尽な出来事があって絶望の海に堕ちていた時カインに出会う。


 悲しんでいた私を支えてくれたのは彼だった。


「でも……」

「いいから休んでて」

「相変わらず頑固ね……」

「よく言われる」

「やっぱりそうなのね」

「うん」


 私たちは思ったことを言い合える関係だ。だから、時に多少すれ違うことがあったとしても、なんだかんだで同じ方向を見つめることができる。睨み合うのではなく話し合う、それが大切なこと。私はそう考えているし、だからこそ、彼と関わる時もそこを考慮して動くようにしている。彼はそれに応じてくれる人なので上手くいっている。


「今日は僕がお茶淹れてくるよ」

「ありがとう」


 共に生きていく、ということは、簡単なことではない。


 きっといろんな出来事に出会うだろうから。

 時には思わぬ困難に遭遇することだってあるだろう。


 それでも私たちは共に歩んでゆけると思う。


 生きていく中で何があったとしても。

 対話する心を忘れず、手を取り合って歩んでゆけば、最悪の未来は訪れないはずだ。


「今日は砂糖どのくらい淹れる?」

「そうね……中くらい、かしら」

「一昨日みたいな?」

「ええ」

「紅茶そのものの濃さは」

「お任せで」

「はーい」


 カインが淹れてくれるお茶はいつも美味しい。

 正直言うと私が淹れたものより美味しいのではないかと思う。

 彼は結婚する前からよくお茶を淹れていたので、きっと、経験値が積み重なっているのだろう。


 ちなみに、かつて私を切り捨てた元婚約者の彼はというと、私との関係を終わらせた一年後くらいに山を散歩していた山賊に襲われ行方不明となった。


 そしてそのまま彼の身体はどこかへ消えて。

 捜索しても発見されなかったために亡くなったという扱いになったそうだ。


 で、彼が惚れていた浮気相手の女性だが、彼女もまた残念な最期を迎えることとなったようだ。


 というのも、酒場で出会って怪しいイケメンに騙され信じられないくらいの額の借金を背負わされてしまったのである。


 もちろん彼女には飛び抜けた返済能力はなく。

 そのためどうしようもなくなってしまって。

 自分の命を売る、という、最悪の形で、借金を返済することとなってしまったそうなのだ。


 元婚約者の彼と、その浮気相手と、私と。その中で幸せになれたのは私だけだった。一度は絶望に堕とされた私が、否、私だけが、道の先で穏やかな幸せを手に入れることができた。


 人生は勝ち負けではない、とはいえ、これはもう私の完全勝利だろう。


「お待たせ! できたよ」

「良い香りね」

「砂糖の種類ちょっと変えてみた」

「どんなのに?」

「前話してたやつ」

「ああ! お菓子屋さんがくれたやつね!」

「そうそう」


 カインとの暮らしはこれからも続いていく。


「いつもとは少し感じが変わりそうね。どんな感じか楽しみだわ」

「僕もまだ飲んでみてなくて」

「じゃあ先飲んでいいわよ?」

「いやいや、そこはそっちから。感想教えて」

「いいの?」

「もちろんいいよ」


 今ここに在る穏やかで幸せな日常を護って生きてゆこう。



◆終わり◆

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