第八話
その後、段々とメンバーがラウンジに揃い、6時半には全員揃って出発した。
金色に輝く田んぼと、それに見合わ無い破壊された家や店は人の気配を感じさせない
「おい!あれを見ろ!」
メンバーの一人が叫ぶ。
この時点でホテルを出てから2時間ほど経過していたが、それは疲れを忘れさせるほどに強烈だった。
文明の象徴、車が走って向かって来るのだ。
オンボロな軽トラだが、そこに乗って手を振る男性は、俺達を助けようとしてくれている。
「お前ら、避難者だな?」
「まさしク、その通りダヨ」
「わかった。君がリーダーだな?6人か…積載過剰だな。ちょっと待ってくれ」
男はトランシーバーの様な物に喋りかける
「こちら〇〇…避難者の集団を発見…載せきれねえから来てくれ」
「トランシーバー?電気は使えないんじゃ無いのか?」
「ああ、これか。これは電気屋から掻っ払ってきたやつだ。電気も自家発電で補ってる。コンセントが使えなくてもこの方法なら使えるんだ」
「そうだ、電気やネットが使えない理由は分かるか?」
「電気は…発電所がどうなってるかは知らんが、電線が切れてるのは何度も見かけた。それだろうな。んで、ネットは基地局が妖怪にぶっ壊されて、電気も使えなくなってで復旧出来てないだけだ!」
「かなり原始的な壊れ方だな。てっきり魔力の影響かと」
「魔力で電波やら何やらの挙動が少しおかしいとは聞くぞ。俺も専門家じゃ無いからキッパリとは言えんが」
魔力も知ってるのか。
さいたまより23区に遠いのが幸いして被害が少なかったのか?
「お、ついたな。じゃあ乗ってくれ」
もう一台の軽トラがやって来ている
「うい!それじゃ出発!」
「ちょっと待て、どこにだ?」
「そりゃあ避難者が集まってる所よ」
「物資は?人数は?」
「さあな、俺には分からん。今の所食いっぱぐれてる奴はいない筈だが。人数は50人程度か?」
大丈夫かそれ?まだマトモな生産体制も整って無いのに
「周囲の状況は?」
「物資の奪い合いが始まっちまってるが、俺らが優位に立ててる。まだ正面衝突も起こって無い」
ふむ…
「人数が少なくないか?」
「そうなんだよ。いくらか逃げたとしても、ここまで捜索して生存者がこんだけってのはおかしいだ。お前ら今までに見かけてたりしてないか?」
「いや、全然」
そうこうしている内に避難所につく
小学校をそのまま使っている様だ。
人が少ない分個人のスペースは広い。
窓が割れてたり緑色の液体で汚れているのが気になるが
「リーダーに会わせるからついて来い」
連れて来られたのは校長室。
「リーダー!避難者が来たぞ!」
「どうぞ」
そこに居たのは太った中年の男だった。
「やあ。今までよく頑張った。でも、ここまで来れたらもう大丈夫。安全を約束する」
「一応ボキがこの集団のリーダーをしていル。話はボキを通してくレ」
「分かった。それで?どこから逃げて来たのか教えて貰おう」
ここまでのルートを事細かに話す
「よし。分かった。書き留めるから待っとれ…よし。それで?君たちはここに避難するんだね?」
「大半はそうだけド…この八刀クンだけは静岡に向かうらしイ。少し物資を渡してやってくレ」
「君達の避難は受け入れるが…ここに留まらない人に物資は渡せないな」
「待ってくれリーダー!この人はこの集団のMVPだろ!?渡さないのはどうかと思うぞ!」
おい、部下に反抗されてるけどいいのか?
「しかしだな、この男はこれ以降我らに利益を落とさないのだぞ?物資も貴重なんだ。分かるか?」
「リーダーともあろうお方がそんなので良いのか!?いくら留まらないとは言え、一日分の食料を分けるぐらいはするべきだろ!」
「ええい!私も我らの生を守る為に必死なのだ!君は退出しなさい!」
「いくらリーダーと言えどもそれは納得できねぇ!物資を渡さないって言うのなら俺h!」
「ヘイ、ヘイ、落ち着いテ。彼への物資はボキ達が少しずつ負担すル。君タチから出ていく物資の量は同ジ。それで決着をつけよウ。ミンナもそれで良いかイ?」
皆大丈夫そうだ。良かった〜、一大事にならずに
「ありがとう」
「いヤいヤ、狼の時に師匠がいなかったラ、ボキタチは全滅していたヨ。これは君の受け取るべキ報酬ダヨ」
「少し良いかね?」
この集団のリーダーが話しかけて来る
「何だ?」
「君はここからまだ進むのだろう?ならば少しはこちらの命令に従って貰う」
「内容次第だな」
「いや、そこまで難しい物では無い。今他の集団を刺激するのは危険だから、少し大回りなルートを通って欲しいと言うだけだ」
「なるほど。それなら問題無い」
「そう言ってくれて嬉しいよ。では、幸運を祈る」
俺は皆から少しの物資を受け取り、避難所を出る。
今は昼飯時を少し過ぎたくらいだ。
ここからのルートは八王子を通りつつ南下するルートだろう。
少し大回りに移動するルートを確認して、俺は歩き出す。
飽きたんでやめます




