第二話
長いのは第一話だけです
しかし、絶望は圧倒的な力によって振り払われた。
家が、無くなっているのだ。
そこにいるのはいつの日か見た大量の頭が生えた化け物。
だが、そのサイズは二階建ての家ほどになっている。
「ゴルルルルルル!」
恐らく威嚇なのだろう声は、なんの力も持たない俺の体を萎縮させた。
咲も同じ様な状態になっているのが見える
ああ、このまま死んでしまうのだろうか
それならせめて、俺から殺して欲しい。そう思っていたが、運命は残酷だった。
化け物は咲の上半身を食い千切り、そのまま喰らった。
最後に顔を見る事すら出来なかった。
俺もすぐに殺されるのだろう。化け物の複数ある顔がこちらを向く。
良かった。咲を向こうで待たせることは無さそうだ。
「ハァッ!」
しかし、その予想は裏切られる。
咲ほどの年齢の少女が、化け物をその手に持った刀で切り裂いたのだ。
「大丈夫か!?」
「あ…あ?」
「申し訳無い。妹さんは救えなかった」
「待て、お前は誰なんだ。説明しろ!あの化け物は何だ!」
「済まないが、今は説明している暇が無い。このメモに大体の事が書かれているからそれを頼りに生きてくれ」
メモを渡し、少女は去ろうとする。
「待てよ!俺はどうすれば良いんだよ!」
「申し訳無い。しかし、まだ助けを求める人が居る。私はその人達を見捨てられn
危ない!」
少女が目にも止まらぬ速さで俺の後ろに回り込む。
振り向くと、化け物と少女、両方が倒れ込むのが見えた。
化け物は細切れにされ、もう生きてはいないだろう
しかし、少女からも血が流れ、両足と刀を持っていた腕はあらぬ方向に曲がっている。
「ふっ、私もこれまでか。正義の味方気取りは楽しかったな」
「待てよ!どういう事なんだよ!俺に教えてくれよ!」
「済まないが、一から教えている暇は無いだろう。ゴホッ!なあ、名も知らぬ人」
「何だ?」
「これから先、日寺 天戸という人に会ったら、日寺 節からと言って伝えて欲しい。ゴホッ!じ、ゴホッ!ゴボゴホゴボッ!」
口から血を吐いて声を出せなかったのだろう。
少女の遺言は聞き取ることが出来なかった。
「んだよ…どうなってんだよ…」
目の前の少女は動かない。
耳をすませば爆発音や悲鳴も聞こえてくる。
もしまだ命があったとしても、この少女の看病をするのは厳しいだろう。
いきなり色々起こり過ぎて少し思考が冷静になっている。
今のうちに行動を決めておこう。
そういえばメモがあったな。
現状について
東京に隕石が落ち、その影響で魔力が増えている。その影響で首都圏はとても危険になっている。これを見たのならすぐにでも首都圏から離れろ。そこに留まっていても生きる事はできない
魔力について XXXXXX
XXXXXXXX
そのままの意味で、魔術というものが現実に存在する。今まではXXXXXXXXXXていたが隕石の影響で妖怪…所謂化け物の類が増えている。魔術をXXXXXXXXX対抗XXXXXXXX
XXXX XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
XXXXXについて XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
なんて事だ。血で汚れて見えなくなっている。
読める範囲で何とかするしかないか
クソ、これが唯一の情報源なのに。
二人は埋葬してやりたい。咲は唯一の家族だったし、少女は俺を助けてくれた。
瓦礫の中から土を掘り出し、二人の上にかけて全身が見えない様にする。
どうか安らかに眠ってくれ。
家の中に置いていた食料はもう使い物にならないだろう。
まずは食料と水を探さないと。
あと、あんな化け物がいるなら最低限武器は欲しいな。
武器になりそうな物を探すと、案外すぐに見つかった。
瓦礫の中にあった鉄パイプだ。
そこそこの重さで、持ち運ぶのに苦労無く、振りやすい。
まあ最低限武器にはなるだろう。
魔術とやらについて検証もしておこう。
どうやって使うんだ?
火…は危ないから…
「水の玉!」
そう言うと、手の平の上に小さな水の玉が浮かんでくる。
よし、これで飲み水には困らない!…何故だろう。この水は飲用に向かないことが直感的に把握できる。
魔術の謎としておこう。
手の平を瓦礫に向ける。
「発射!」
思った通り、水の玉は瓦礫に当たってそこを濡らした。
何故初めて使うはずの魔術がここまで容易に使えるんだ?
まあ分からない事だし置いておこう。
「取り敢えずこれがあれば水の心配は無いな」
これからどうすべきか。
そうだ、おばさん。あの人には良くして貰っていた。流石に顔は見せないと。
歩きで2分もかからないほど近所なので家にはすぐ着いた。
塀が崩れたりしてはいるけど家自体は壊れて無いな…
「大丈夫ですか!」
返答が無い。
「入りますよ!」
ドアを開け、家に入る。
あれ?物音が聞こえる。
「大丈夫ですか!」
扉を開け、家に入る。
そこには信じられない生物がいた。
子供ほどの体格に、緑の肌。所謂ゴブリン二匹が人間の死体を喰らっているのだ。
いや、よく見るとよくあるゴブリンと少し見た目が違う。
顔にはシワなどの醜悪に見える要素は無く、何より現代的な子供服を着ている。
「ぐぎゃ!?」
あの死体は恐らくおばさんのものだろう。
「その人から離れろ!」
咄嗟に鉄パイプでゴブリンを殴りつける。
肉を殴り、骨が抉れていく感触が手に伝わる。
俺が殴ったゴブリンは顔が潰れ、ピクリとも動かなくなった。
「ぐぎゃ!?ぐぎょごぉ!」
もう片方のゴブリンはゴブリンの死体に駆け寄る。
なんだよ、その反応は。泣いてるのか?片割れが死んで。
「クソが!」
もう片方のゴブリンも殴りつける。
「お前らも!俺の三人目の親を殺しただろうが!」
もうこのクソ野郎どもは動く事は無いだろう。
おばさんの死体を確認する。
「うっ」
腕や首、内臓などが抉れており、非常にグロテスクになっている。
しかし、もう夜だ。埋葬する事はできないだろう。
「おばさん、今までありがとう」
冷蔵庫の中から保存の効きそうな食べ物を貰い、置いてあったリュックにしまう。
そうか、夜か。…街灯は消えている。発電所が壊れたのだろうか
流石にこの暗さで移動は厳しい。
スマホは…ネット繋がって無いな。温存だな
そうだ、魔術は?
「光」
出て来た
あ、ダメだこれ使い続けるとめっちゃ疲れる
消した。
魔術は使い続けると体力を使うのか?
まあMPみたいなもんか。納得できる。
しょうがない。今日はここで明かすか




