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第一話

ほとんど原作のコピペですが、一応第六章後半から少し変更しています。

2026年9月28日

俺は八刀やつるぎ士郎しろう

名前が武士みたいで仰々しい事は認めるが、普通の社会人だ。


職場でやけに驚いたような後輩が話しかけてきた。


「ふぅ〜、先輩!今日やばかったんすよ!まじで!」

「待って、急にそんな鬼気迫った表情で言われても」

「なんかめっちゃデカいうさぎが追いかけて来て!」

「どうせ悪夢でもみたんでしょ?ほら、さっさと行きなさい」

「ホントなんすよ!まじで!現実!」

「面白い冗談だね」


…デカいうさぎが追いかける?不思議の国のアリスみたいなこと言って…


その日の仕事は特に何も無く終わった。


帰宅


家で妹のさきが話しかけて来た。


「今日友達にモンスターが出たとか話してた子がいたんだけど、知らない?」

「ああ?それうちの職場でもあったな」

「変なの〜」


我が家は最近両親が他界しており、俺の収入と両親の遺産で生活している。


特に変な事は無く、普通の日常が過ごされた


俺は寝る前にSNSを見る癖があるが、面白い投稿をする者、皆で有名人を非難する投稿する者、政治家を批判する投稿をする者。特に普段とは変わりが無かった。

今日の話は何だったんだ?


少なくとも、世界はこの時点で「異常」に気付いていなかった。


2026年9月29日


いつも通りの休日、今日は一人で買い物だ。


ぐちゅ、ぐちょぉ


何の音だ?

こっちの路地からかな?


そこには、信じられない光景が広がっていた。


犬、猫、カラス、ネズミ、他にも沢山の顔が生えた生物がこちらを見ていたのだ。

いや、生物とさえ形容し難い見た目かもしれない。


逃げないと!

本能的な恐怖だろうか、一目散に逃げ出していた。

少し距離が取れ、落ち着く事ができる。しかし、あんな化け物がいるような外に居るのは不安だ。家に帰る。


「咲、少しいいか?」

「どうしたの?」

「それが、昨日言ってた化け物に会ってな。外には出ない方がいい」

「うっそだ〜!そんな事あり得ないでしょ!」

「本当なんだって!」

「www」


結局今日は咲を説得できずに終わった。


今日のSNSも昨日と変わらない。


2026年10月1日


今日も仕事だ。

しかし、職場に付いてみると何人か人が居ない。

一昨日の後輩もだ。


上司に理由を聞いてみる。


「それが私にも分からないんだよ、みんな無断欠勤してしまって困ってるんだ」


上司も理由を知らないなんて…


俺の頭に嫌な予想が浮かぶ。

昨日見たあの化け物だ。それが皆を殺して回ってるのかも知れない。

…そんな訳ないか!


仕事は特に何も無く終わり、職場から出る。


途中で工事があったせいでちょっと帰るのが遅くなった。


「ねえ!今日学校に無断欠席した人が結構いたんだけど知らない?」

「え、それ俺の職場でもあった!」

「昨日の話覚えてる?」

「…それは俺も考えてた」

「明日休んでいい?」

「しょうがないか。明日は俺も休むわ」


今日のSNSも昨日と変わらない。


2026年10月2日


学校と職場に休む連絡を入れた。


「なあ、もしあんな化け物が居るんなら今の内に準備するべきじゃないか?」

「うん…そうだね。スーパー行こうか」


スーパーに来たが、普段よりも品揃えが悪い。

いや、平日の昼間の品揃えなんて知らないんだが。


今日のSNSは少し面白く無かった。けれど、変なニュースは見当たらない。


2026年10月3日


今日も仕事と学校は休むつもりだ。


後、隣に住む仲の良いおばさんに話を聞いてみる事にした。


「化け物?については知らないけど、確かに最近無断欠勤が多いとは聞くわね。」

「ですよね。俺達の方でもそう思ってたんです。」

「貴方達困ったらあたしを頼りなさいよ!アンタらの3人目の親みたいなもんなんだから!」

「ふふ、ありがとうございます」

「ええ、いつでも頼って来なさい!あ、これからスーパーに買い物に行くけど一緒に来る?」

「じゃあ、せっかくですしご一緒させてもらいます」


スーパーに着く。が、満員だ。

満員どころでは無い。入り口に人が群がり、怒号すら聞こえてくる。


「困ったわね…」

「家に買い溜めがあるので良ければ渡しましょうか?」

「大丈夫よ、一応少しはあまりがあったはずだし」


帰りに銀行の前を通ると、そこにも人集りが出来ていた。スーパーよりも酷い状況かも知れない。


「それでは」

「ええ、またね!」


おばさんと別れ、家に帰る。


SNSを見てみる。

おかしい。銀行の取り付け騒ぎだぞ?報道されていない訳が無い。

行方不明者が多いのも俺達だけの話では無さそうだ。

なのにSNSは普段と一切変わらない様子を見せている。


いや、違う!

変わっている。気付いていないだけだった。

普段より投稿している人が少ない。

このアカウントは1日に百を超える投稿を行なってきた重度のネット中毒者のアカウントだ。

なのに、今日は一切投稿していない。

だけど、誰もそれについて触れていない。


不信感が増える。


そして、私は一つの結論に辿り着く。


“SNSの投稿が検閲されている”


突如、俺に不安が襲いかかる。


何時も、俺に情報を与えて来たSNS

何時も、画面の中の喧騒を感じれたSNS

何時も、危ない事があればすぐに知らせてくれるSNS


そんなSNSが、今日は沈黙を貫いている。

人間社会はSNSに汚染されすぎたのだろう。

画面の中の誰でも無い、重要でも無い誰かが、居ないと言う事実だけで心を孤独感が埋め尽くす。


物資を集めなければ。

食べ物を、道具を、資源を、集めなければ。


「お〜い!これ見て〜!」

「何?今大変な時なんだけど?」


そう言ってきた咲の手には、鉛筆が浮いていた。


「何それ?マジック?」

「違うよ」

「じゃあ何それ?」

「分かんない。なんか出来るようになってた。」

「魔術とでも言うのか?」

「うん。多分ね。」

「こんな異常自体だしそう納得するしかないか」


今、咲が現実ではあり得ない事を起こしている。

今、SNSでは現実ではあり得ないような事が起こっている。


この二つは偶然では無いだろう。


「買い物に行くぞ」

「え?また?ていうか反応薄くない?」

「行くんだよ。今すぐに。出来るだけのお金を持って」

「?分かったけど…」


お金を下ろしに銀行に向かう。

人が多すぎて下ろせなかった。


食べ物を買いにスーパーへ向かう。

何とかして人の波を乗り越えても、そこには何も残っていなかった。


道具を買いにホームセンターへ向かう。

めぼしそうな道具は残っていなかった。


みんな、この異常事態に気付いているのだろう。


道中には、歪に崩れた塀や、凹んだ地面、赤く染まった街路樹、割れた窓ガラスなど、”異常”を訴えるような跡があった。


…割れた窓ガラス?

…!


まずい!

そう思って家まで走り、冷蔵庫の中を覗く。


やられた!


パンくず一つも残っていなかった。

残っていたのは手紙だけ。

中を読んでみる。



家主さんへ


まず初めに、申し訳ありませんでした。

冷蔵庫の中以外は一切手を付けていません。

恐らく、貴方も気付いていると思います。世界は破滅に向かっている。

仕方がなかったんです。私には妻と子供二人がおり、全員腹を空かせています。

許せ、なんて自分勝手な事は言いません。ですが、仕方がなかったんです。

恨むなら、私一人にしてください。

悪者 〇〇 〇〇より



バンッ!


手紙を地面に叩きつけ、踏みつける。

踏みつける踏みつける踏みつける。


もう細切れになり、2度と手紙として役目を果たすことは出来ないだろう。


幸い、災害時のために残しておいた防災バッグの中の食料は取られていない。

後3日は保つだろう。


今日《《も》》SNSは昨日と変わらず、芸能人を叩く者、面白い投稿をする者、イベントについて告知する者など変わり無い。


その雑踏が、俺には酷く静寂に見えた。


2026年10月5日


朝起きて早々、咲が話しかけてくる。


「今日はやばい。絶対に何か起こる。やばい」

「やばいって、何が?」

「分かんない、けどやばい。備えないといけない」


私は妹の言葉を信じ、家の窓や扉の前に家具を移動させ、バリケードを作った。


気づくともう20時だ。


ドン!


ドンドンドンドン!


家の扉が叩かれる。


「どちら様でしょうか?」


扉越しに聞いてみる。


「開けろ、そして大人しく食べ物と金を寄越せ。こっちには5人いる。魔法も使える。大人しくすれば命は取らない」


妹にハンドサインで指示をする。


その数秒後、ドォン!という音と共に扉の向こうは静かになった。


妹に家具の塊を2階から落として貰ったのだ。

500キロくらいはあるかも知れないが、魔術を使えば簡単に移動できた。


扉を開け、敵対者から物資を奪う。

これでもう少し生きれるだろう。


今夜は星が綺麗だ。


咲も降りてくる。


「?あれ何?」

「え?どれ?」

「あの星だよ」


咲の指さす方を見るが何も見えない。


「すまん、分からん」

「ほら、大きくなってる」


よく見ると、確かに米粒ほどの光が動いているのが見える。


「ただの星じゃないのか?」

「いや、よく見て!」



もう一度見ると、その光は大きくなっていた。



どんどん大きくなっていく。



もう月ほどの大きさだ。



数秒後には天蓋の10分の1ほどの大きさになっていた。



周囲が段々と明るくなり、昼と見紛う程の明るさになる。この間10秒も無いだろう。



光はまだまだ大きくなる。家の中に戻ろうかと考えたが、何故か光に釘付けになってしまう。



光は天蓋を埋め尽くす。もう月も、星も見えない。



眩しくなって目を閉じる。



その数瞬後、空が割れ、大地が悲鳴を上げるような感覚を覚える。


心の中を絶望が埋め尽くす。


作者が関西人で土地勘が無いのである程度の地理的ミスは許してください

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