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Witch  作者: 迎日 葵
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2話

ファンタジー系創作2話!

やはり平和が一番と思う迎日です。


今回のお話は、森に住む魔女さんたちと近くに位置する村との交流のきっかけを書きました。

拙い文章かと思います。ですが誰かの目に止まればいいなと思います。温かい目で見てくださいませm(_ _)m


とあることをきっかけに、人間の赤ん坊を育てることになった、魔女イザベル・オルタナシア。

リリーと名付けた赤ん坊を育てると決めてから、半年の時間が過ぎた。イザベルは子育てというものをしたことはなく、知識はある程度あれど、イレギュラーばかりが起こり正直へとへと、というのが彼女の本音だった。


「それでは、実際に子育ての経験がある者へ話をお聞きになってはいかがでしょうか」


木の下で項垂れるイザベルにそうアドバイスをしたのは、森に住むオオワシのヘレナである。


「というと?」

「森の近くに小さな村があるのはご存知でしょう? 人間たちならば、我々の知らない子育てへの知識も豊富かと思われます」

「……しかし、お前も知っているだろう。人間は私の存在を恐れている。変に怖がらせては……」

「衣服や髪型を少し変えて、いつものように魔力も抑えていれば、皆、貴女様を人間と信じると思います」

「変装する、ということだな」

「その通りです」


イザベルは背筋を伸ばし、腕を組んで考える。

唸りながらしばらくした後、瞑っていた目を開けた。


「いつまでもわからないことを考えていても仕方がない、やるだけやってみよう」

「その意気でございます」

「よし、善は急げだ。まだ日が明るい内に赴くとしよう」


急ぎ足で洋館へ戻り、それらしい服へ着替え、リリーを抱え小さな村へ向かった。



◆❖◇◇❖◆



自給自足でやりくりをする小さなその村は、人も少なく、栄えているわけでもないが、それなりの生活が出来ると程よい幸せな暮らしをしていた。

あまり人の訪れないその村の入り口に佇む女性の姿に、村人たちはざわついていた。


「突然の訪問を許して欲しい。皆様のお知恵をお借りしたくここへ参りました」


村人たちは顔を見合せ、恐る恐るといった様子で、村長と二、三人の村人たちが女性の元へ歩み寄った。



イザベルは自分のことをイヴと名乗り、とある事情で友人の子どもを預かり、育てることになったと説明した。自分は今まで独り身で、子育て経験がなく、どうしたものかと迷っていたのだと。

そう話すと、村人たちは警戒を解き、色々な話をしてくれた。小さな時に言われた言葉は意外と覚えていることや、規則正しい生活が大切なこと、叱る時のタイミングなど、その他諸々多くを教わった。

イザベルは内容を紙に書き留め、村長や集まってくれた村人たちに礼を言った。


「とても勉強になった。快く出迎えてくれて感謝します」

「いえいえ、とんでもない!」


村長が笑いながら言う。その時、話していた内の一人である女性が、イザベルに笑顔でこう伝えた。


「イヴさん、これからも仲良くしたいわ。またここへいらしてくれる?」

「……えっ?」

「そうよ、女手一つで子どもを育てるのはとっても大変だもの。協力したいわ」

「住まいはどこ? 私たちからも会いに行きたい!」

「そうだこれこれ、今朝取れた果物と野菜よ! 少しだけど持っていって!」


人からの優しさに慣れていなかったイザベルは、彼女たちの行動に戸惑いつつ、不器用な笑顔で告げた。


「気遣ってくれてありがとう。ただ、家のことは伝えられないんだ。その、色々、あって……」

「あら、そうなのね」

「大変な事情があるのね……」

「あぁ。だけど、またここへ来てもいいだろうか。この子も、この場所を気に入ったみたいだから」

「もちろんよ!」

「リリーちゃんもイヴさんも、遠慮なくここへきてください!」

「男たちも、美人が来て喜ぶわ」

「えっ」


突然の褒め言葉に今度こそ停止してしまったイザベルと、違ぇやいと覗き見をしに来た男たちが、やいのやいのと騒いでいた。



◆❖◇◇❖◆



「ふふふっ、少し出掛けただけだったのに、穏やかになられましたね」


森へ帰ってからずっとヘレナに温かな目線で見られている。気まずさを感じ、イザベルは小さく唸りながら下を向く。


「まさか、あんな思いをするとは……」

「これからの日々が楽しみですね、イザベル様」

「……あぁ、そうだな」


相変わらず慌ただしい日々になるだろうが、同時に、未知への経験ができることを楽しみにしているイザベルであった。




─────十六年後




季節はあっという間に過ぎていき、十六年という歳月が流れた。

リリーはイザベルの娘として、また、魔女の弟子として成長した。雪のように白い髪と、アメジストの瞳を持つ美しい少女へ育った。ただ、彼女は生まれつき体が弱く、あまり長く外へ出向くことはしないようにと約束していた。



ある日、洋館の庭で小さなお茶会をしていた時だった。リリーの表情は硬く、大抵のことには驚かないイザベルは心臓が冷えそうな気持ちになった。


「お話があるの、お母様」

「ど、どうしたリリー。突然改まって。……ま、まさか……」

「?」

「反抗期……というやつか? 森の暮らしは飽きてしまったか?」

「……あははっ、違うわ。お母様のことは今までもこれからも大好きだし、森での生活に不満もないわ。多分、今後もそう思うことはないと思う」

「……それならいい。それで、話したいこととは?」


イザベルは椅子に座り直し、聞く体勢に入る。


「お世話になっている村の方々に、そろそろ本当のことをお話してはどうかと思うの」

「……本当のこと?」

「お母様は今まで、皆さんを怖がらせたくないからって、この森に住んでいることも、ご自身のことも話されたことがなかったでしょ?」

「その通りだ」

「おそらく、いやほぼ確実に、村の人たちはお母様のこと勘づいていると思うわ」

「……えっ?」

「少なくとも、人間じゃないことはわかっていると思う」

「…………」


今まできちんと隠せていると思っていたイザベル本人は、娘であるリリーから言われた内容に驚き、言葉が出なかった。

それでは、村人たちは今まで無理をして自分を迎え入れていたのだろうか。気付いていたというのが本当なら、一体いつからなのかと考えていると、まるでイザベルの頭の中を見透かしたような様子で、リリーが話を続けた。


「あの人たち、お母様を恐れていないわ」

「……恐れて、いない?」

「きっと村の人たちは、わたしやお母様、そしてこの洋館に一緒に住む人たちを通して、森が悪い存在ではないとわかってくれていると思うの。だからこそ、本当のことを話して、改めて村の方々と仲良くしたほうがいいんじゃないかと思ってたの」


お互いに、今後も関わっていくことになるだろうからと、リリーは言った。

リリーの言いたいことはわかる。だが、もし、正体を明かして、拒絶されてしまったら。今まで築いてきた信頼関係が壊れてしまったらと、イザベルは下を向いた。


「大丈夫よ、お母様」


席から立ったリリーが、イザベルの震える白い両手を握る。


「もし万が一、あの人たちがわたしたちを歓迎してくれなくても、わたしがいる。もちろん、この森のみんなも。もうお母様をひとりになんかしないわ」


リリーは微笑みながら告げた。そして、その時を待っていたように、一匹のオオワシが白いテーブルの上に留まったかと思うと、くるりと一回転して人の姿に変化した。


「そうですよイザベル様。もし不安だと仰るのならば、是非この私もお供させてくださいませ」

「ヘレナ……」


彼女の手を取り、ありがとうとお礼を言う。


「では、決まりね。さぁ行きましょ。善は急げでしょ?」

「えっ、リ、リリー。わかったわかった、急に腕を引っ張るんじゃない」




リリーたちは村を訪れ、村長やら世話になっている者たちを集めると、始めからその詳細を語った。イザベルがイヴという名前の人間のフリをしていたこと、リリーを育てることになった理由、村人たちが恐れている黒い森に住んでいることを隠していたこと、その全てを。


「……はい、実は、薄々ですが気付いておりました」


どんな非難を受けるかと考えていたイザベルの耳に入ってきたのは、村長のその一言だった。


「い、いつから?」

「イヴさんがこの村に訪れてから一年が経った頃……ぐらいですかね?」


いかにも驚いておりますというイザベルの表情に、村長含め周りの村人たちはふふっ、と笑みをこぼした。


「何故私のことを、どうして……」

「えっと……それは、ね?」

「イヴさん、見た目よりも明らかに知識が豊富ですし」

「そうそう、治療に関してのこととか、子どもに聞かせたいっていうおとぎ話もたくさん知ってらしたし!」

「お若いのにとっても落ち着いている雰囲気とか」

「そう、雰囲気。只者じゃないっていうのが伝わってきていました」

「……う、うぅん……そうだったのか……気を遣わせてしまって申し訳なかった」


眉間に皺を寄せながら、イザベルは皆に頭を下げた。それを見た彼らはあわあわとし始め、顔を上げて欲しいと伝えた。


「それで、今後もどうか交流を続けたいとのことですが、こちらからも是非ぜひ、お願いしたく存じます。イザベル様」


村長に続き村人たちはイザベルたちにお辞儀をした。イザベルはその様子にホッと胸を撫で下ろし、今度は彼女から頭をあげてくれと声を掛けた。


「今まで世話になった恩返しが少しでも出来るなら、いつでも森へ来てくれ。客人がいれば、森の住民たちも喜ぶだろう」

「それは、実際に森に住む私が保証いたします」


ヘレナは人の姿からオオワシの姿に変身して見せる。最初は村人たちは驚いたものの、そのうちぱあっと顔を輝かせた。


「話がキレイにまとまって良かったです」

「リリーの言った通りだったな」

「そうでしょ? うふふっ」


こうして、黒い森とその近くにある村との交流はより深くなり、お互いの行き来が可能になった。提案者であるリリーは、「これでお屋敷も綺麗に掃除出来る」と嬉しそうに話し、イザベルは「もしや、狙いはそれだったか」と聞くと、なんとも可愛らしい無言の笑顔が返ってきただけだった。


帰り際、村長と村人たちがイザベルとリリー、そしてヘレナの見送りをしてくれた。


「わざわざありがとう」

「いえいえ、どうぞ今後とも、よろしくお願いいたします。イザベル様、リリーちゃん、ヘレナ殿」

「そ、村長。私のことは今まで通りイヴで良い。意外と気に入っているんだ」

「……それでは、今後はイヴ様と」


二人は握手を交わす。

その時、村長の後ろにいた村人の男性が、思い出したように駆け寄ってきた。


「村長、あの国のこと、一応お話されては」

「あの国って?」


リリーが思わずそう呟くと、辺りは少しだけザワザワとし始めた。


「イヴ様、この向こうに栄えた王国があるのをご存知ですかな」

「……いや、私は森とこの村しか知らない」

「あの王国は、欲深い王が統治すると言われる国で、良い噂をあまり聞きません。最近も、国内で魔女狩りがあっただとか、貴族たちは不老不死の研究をしている、だとか……」

「……そんな噂のある国なのか。関わりたくはないな」

「でも、もしその王国がこっちにやって来て、何かしてきたら……」

「リリーちゃん、怖がることはないよ。あの国はここよりもずっと遠くにあるし、何かあればワシらがいる」

「そうだよ、何かあればオレたちがついてる!」


不安げな表情をするリリーの頭を撫でると、だんだんと笑顔を取り戻し、「ありがとう」と周りにお礼を告げた。

彼らの話を聞いていたオオワシのヘレナは、自身が気になることを口にした。


「お言葉ですが、村長。私たちにそのことを話してよかったのですか」

「……ヘレナ殿、その心は?」

「可能性は低いと思いますが、あなた方がその王国に我々の存在を伝えれば、いくらかの報酬も夢ではないのでは、と、思いまして」

「ヘレナ、言って良いことと悪いことがあるだろう」

「良いのです、イヴ様。そう思われるのは当然のことです。そして、結論から申し上げますと、その可能性は無きに等しいです」

「……理由をお聞きしても?」

「実はこの村の祖先は、元々例の王国に住む者でした。ですが、激しい貧困差や王への不信から、国を抜け出し、後にこの村を起こしたのです」

「……そんなことがあったのか」

「といっても、起源がそうであるというだけで、可能性は無いと言っても信じていただけないかもしれませんが……ワシらは今のこの生活が、とても尊く、充分幸せなのでございます。皆も同じ気持ちだろう」


村長の言葉に同意の声があちこちで上がる。皆が今の生活に満足している、というのは、今までの思い出たちが証明してくれている。


「それに今後は、皆様との交流もある。これ以上の喜びはありません」

「……そう言ってもらえて良かった。とりあえず、この村のことと、王国のことはわかった。忠告もしっかり受け取ろう。その上で次は是非、私の洋館へ来てくれ。森の中も案内しよう」

「はい、重ねてよろしくお願いいたします」


話を終え、イザベルたちは村を後にした。




そして、早速次の日から、森に初めての客人が数人やってきた。彼らはイザベルたちの住む洋館へ案内され、リリーの希望で館内の掃除を手伝ってもらった。


「……リリー、やはり狙いはこの館を綺麗にすることだろう」

「なんのことかしら?」

「……あえて何も聞かないでおこう」


あの時と変わらぬ笑顔が返ってきたので、イザベルは額に手を置いた。



───────To be continued.





キャラクターの想像って楽しいですね。

オリジナルキャラ作るの大好きなんですが、他にもそんな人いるかな。

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