表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

禁術

「で、俺は見ての通り悪魔だ。名はトリア」


「悪魔……………」






 いつも彼女と接している時は人の姿をして別の名を名乗っているので本名を言っても大丈夫だろう。



 そう考えて言った後、彼女が何処かショックを受けているようなのに気付いた。





 ―――朱音のことだ。きっと悪魔が目の前にいるもんだから、自分が地獄行きなのかとでも考えているに違いない。






 俺は再び溜息を吐いた。





「朱音。とりあえず考えるのは俺の話が終わってからにしてくれ。後で質問があったら聞いてやるから……」


「あれ? 何で私の名前―――」



「俺が悪魔だからに決まってるだろ」





 彼女の問いに、内心ぎくりとするが何とか表情を変えずに俺はごく自然に答えた。




 そして、朱音を見下ろし、決意する。






 ―――これは呪い。俺自身の寿命すら縮める禁術。






 右手に出現させたのは一冊の日記帳。






「ほら、これやる」


「わっ…………」

 





 朱音は放り投げたそれをしっかりと受け止めると中を開き、首を傾げた。




「何、これ? ノート……?」


「日記帳だ」

 




 不思議そうにしている彼女に、説明する。






「この日記帳はただの日記帳じゃねーぞ? これの表紙に死者が名前を書いて、日記を記すと、死者が現世に蘇られるっていう代物だ」




 ペンを手渡すと、彼女は困ったように俺を見た。




「どうして……私に?」





 ―――そりゃ普通は疑問に思うよな。





 俺は苦笑し、これだけは嘘を吐かずに喋る。





「お前が死んじまうと俺が困るんだよ。悪魔には悪魔の都合があんの。で、どーすんだ? 生き返るか、このまま死ぬか……………」





 二つに一つの選択を迫る。そして……。






「…………りたい。……生き返りたいに決まってるじゃない!!」






 少し間を置いてからの答えに、俺は安心した。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ