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第一話 ヒーローは孤独だし、ガクチカのためにサークルを立ち上げるもサークルとしては全く機能しないし、大手総合商社に入社したら、一方的に同期に古代ローマの魅力を語りたい

「紅羽 大地様


株式会社五菱採用担当の山川と申します。

この度は、多数の企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。

応募書類をもとに慎重に選考しましたところ、誠に残念ではございますが、今回はご期待に添いかねる結果となりました。大変申し訳ございませんが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。


なお、お預かりした応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄いたします」


朝から吐きそうになった。

俺は、恩を仇で返すというのは、こういうことかを身に染みて感じた。

40メートルを超える巨大怪鳥エギュラから御社の人事部を守ったのは誰だと思ってるんだ。

官公庁も、紅四も、佐藤忠商事も俺が何回救ったと思ってるんだ。

もちろん、俺がネビュラマン・ガイアに変身して街を守ってることを世間に伝えればこの現状は変わると思うが、やはり俺の大切な日常をぶっ壊したくない。

きっと、俺が変身しなくなったら自衛隊じゃ無力なのは俺が一番よく知ってる。

大怪獣メンヘラーが現れた時、核が使えなくて、歌舞伎町が破壊されかけた時に歌舞伎町の街を救ったのは誰だよ。

日本の国内総生産に寄与してるのは誰だよ全く…まぁ、知られなくてもいいや。俺は周りの自分の人が幸せなら内定もらえなくてもいい。そう思ってる。


21歳 4月、わがレトロゲームサークルも人が少なくなり、課員5人のうち、そのうち2人が「PS2は、レトロゲーム」とか言い出すわけで、当然俺が持ち込んだ、雷電IIをクリアできるやつなんていない。

他校のレトロゲームサークルは、Apple IIとかAltair 8800とか持ち込んでるんだろうなぁ…それこそ、Wizardryを作ったのは、大学生だって言われてるし、俺もさ…この関東底割大学のレトロゲーム部部長として情けなく思うわけよ。

ファミコン互換機はファミコンじゃねえよ…

あと、とりあえずハードオフで買ったサッカーゲーム持ち込むのやめろ。うちはレトロサッカーゲームサークルじゃないんだぞ。


そして、実際は、ただゲームを持ち込んで遊んでるだけのサークル…違うんだ、俺が目指してるのは…Turricanの魅力を!!日本に発信することなの…だが…。

はぁ…まぁもうどうでもいいや。

まぁ、サークル部長やってるのはガクチカ…なのかな。

とりあえず面接では、TurricanとかJazzJackRabbitの発信活動を伝えてるけど落ちてる原因それかな…まぁ、いい。

俺は幸いにも多趣味だし、実はこのサークルにレトロゲームが好きな人なんて1人としていない…と思う。


というのがこのサークルの部員は、全員"何故か"俺のことが好きな女の子で構成されてる、金を払ってるわけでもない。だが何故だろう、ファミコン全然やってくれないし、怒首領蜂も5分で飽きられる。

それより女子4人で和気藹々とやる第五人格ばかりやってるとか、もうなんなんだよ!クソクソクソクソクソクソ!


そんなこんなで、今日も部室には顔を出さずバイトに行く…。


「おはよー!大地くん!」

「あ、はいども」

俺が勤務する居酒屋ロングヒットは、偏差値60以上の大学生と一部の主婦とかがメインで働いてる。男女比は、男3:女7と言ったところだ。

「大地くん、今日、キッチンやってもらえる?キッチンやりたがる人居なくてさ今日」

「あ、はい」

「大地くん、頑張ってね!」

俺は、ギャルのさりに言われ、厨房で仕込みを始める。


仕込み中に俺の後輩はるかが話しかけてきた。

「大地くん、ちょっと聞いてよ」

「どした?」

「最近彼氏できたんだけどさ」

萎える…はぁ、こっちはオタクとして鎧伝サムライトルーパーの魅力を一方的に語りたいだけなのに…だが俺は彼女の話を付き合う、全てはガクチカのためだ…

そうやって自分に言い聞かせて、耐えてる。


20:00


厨房も忙しくなる頃、1人のクレーマーの怒鳴り声が聞こえる。

「おいてめえ!!髪の毛入ってたじゃねえか!!」

「申し訳ございません」

「姉ちゃん良いケツしてるよなぁ…責任とって…」


俺は厨房から飛び出した。

「お客さん、うちの従業員に何してくれてるんすか!

こういうこと言うなら、もう店には来ないでください」

「ああん?てめえ彼氏か?」

さりが俺に小声で「やめなよ、大地くん…」というが、俺は引かない。


客は俺の頬を殴った。

俺は殴り返さない、何故なら彼のパンチの威力はとても低いように思えたからだ。

ドンっという強い音がした。おそらく、10Gぐらいの重力が拳にかかってるのだろう。

もう1発、客は俺を鳩尾を殴った。

しかし、岩のように硬い俺の体を砕ける奴はいない。


「かってえええええおわわああああああ」

「覚えてろよ!」

客は金をおいて出て行った。

客からは何もしてないのに拍手が聞こえた。

「あんた、すげえよ!」

「ただの大学生だと思ってたのに、お前の体どうなってんだよ!」


「あ、僕鎧伝サムライトルーパーが好きで烈火のリョウに憧れて筋トレしてるんです。

だから強いんです、一曲歌わせてください。

スターダストアイズ・・・」

そう言った瞬間ドンと地面が揺れる音が聞こえた。


「あー兄ちゃん…」

「また怪獣だな」

俺はため息を吐きながら「はるちゃん、さりちゃんお客様を安全な場所に避難させて」と言い、俺は居酒屋から徒歩5分離れた公園のトイレに入りポケットの「ガイア・フラッシュ」を取り出した。


「ヘアッチ!!!!」

俺は、巨大ヒーローになり、東京都港区を眼前から一望してる。

大怪獣アンジェル(と今俺が名付けた)が街を破壊してる。

アンジェルが口から破壊光線を出し、商業ビルの高層階を爆破させる。

俺の内定先に関わるから俺はアンジェルに体を量子レベルまでに分解する量子ビームを腕から発射し、アンジェルは、量子レベルに分解され、町の被害は商業ビルの高層階だけに済ませた。

どこから怪獣は来るのかは知らない。

だが、俺が大事なことは大手総合商社で内定を得て、同期に一方的に鎧伝サムライトルーパーの魅力を語ることだけだ。


「いやーすごいなぁあの巨大ヒーローまたやったよ」

俺が人間に0.5秒の間に戻り、居酒屋に戻るとそこには先ほどと元通りの光景があった。


そして、サムライトルーパーを歌える空気でもなくなった俺はまたバイトに戻った、そして、深夜1:00バイトを終わり帰る途中、バイト先の同僚のさちほマン…もとい渡辺さちほに声をかけられた。


「あんたあの巨大ヒーロでしょ」


続く

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