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第五十四話~ようやくの放課後!?~

  ……………………。


  「……お、おい、四季~?  生きてるか~?」

  「い、生きてるよ~多分」


  真宵ちゃんの問いに、僕は力なく答える。地獄のような二時間が終わって、放課後。僕は全体力を使い果たして机に突っ伏していた。めずらしいことに真宵ちゃんも同じように倒れ、机を枕にしていた。


  「……全く。変に理解しようとするからそうなるのだ。どうせ理解できないのなら寝るなり喋るなりすればよかったのに」

  「真宵さんまでこんなことになるなんて……よっぽど辛い授業だったんですね」

  「随分他人事ですね?  私もできることなら眠りたいのですが……」

  「私、午後は眠って過ごしましたから」


  零や弥生ちゃん、夜闇が僕の席の前でぐちぐちと言っている。

  うう~。あたまいたい。


  「…………うっし!  全快っ!  よし、いくぞ四季!  早く帰ろうぜ!」

  「う、うん」


  ピシッと飛び起きた真宵ちゃんとは反対にのっそりと起き上がる僕。


  「……さて、と。早々に帰ろう。四様に言わねばならんことがあるからな」

  「……?」


  四様に言わなきゃいけないこと?  なにそれ。


  「四季様、肩をお貸ししましょうか?」

  「い、いや、いいよ。自分で歩ける」

  

  夜闇の魅惑な提案をかろうじて断ると、僕はよろよろと歩き出す。


  

  「無理すんなよ。ったく」

  「え?」

  「あっ!?」


  体がふっと軽くなったかと思った。でも本当はそうじゃなくて、真宵ちゃんが肩を貸してくれたから、って……


  「ま、真宵ちゃん?」

  「んだよ。私が肩貸すんじゃ嫌か?  んん?  お前肩貸してくれる相手選べるような身分じゃねえだろうが」

  「あ、あはは、そ、そうだね~」


  照れ隠しとかじゃなく、本気でそう思ってるみたい。


  「ま、ま、真宵さんっ!?」

  「んだよ?」

  「し、し、四季君に何を……!」

  「別に殴ったり殺したりしてるわけじゃねえんだ、別にいいだろ?」

  「そういう問題じゃ……ああ、もう!」


  弥生ちゃんは一度うなると、真宵ちゃんの反対側に来て、空いている方の僕の肩をとった。


  「……なにしてんだおまえ?」

  「こ、こうすればもっと楽に歩けますよね、四季君?」

  「え、ええっと……」


  実のことをいうと、もうとっくの昔に元気になって、歩けるどころから走り回ることだってできそうなんだけど……。ま、まあ、楽だし、このままでいっかな?


  「ったく。教師連中どもが、四季をこんなにも疲れさせやがって……許さねえ」

  「……普段あなたがしていることよりかは遥かにマシだと思われますが、暴力女」

  「そうか?  いつも通りだと思うけどな」

  「……不憫な四季様」


  よよよと効果音までつけて、夜闇が悲しむふりをする。


  「し、し、しし四季くん、だ、大丈夫、ですからねっ!」

  「僕は君の方が心配なんだけど……」


  カタカタ震えてるし、声も上ずってるし。弥生ちゃんの方がよっぽど疲れてるんじゃない?


  「……二人とも」

  「んだよ、零」

  「なんですか、零さん」


  教室を出ようとしたとき、零の冷ややかな声が後ろから聞こえた。


  「四季のことなんだがな」


  ぴくり。僕の肩が反射的に跳ね上がる。ま、まさか……。冷や汗が背筋を流れる。


  「歩き方が常人と変わらん。もうとっくの昔に回復してる」

  「……」


  すっと、真宵ちゃんが貸してくれていた肩が外れた。


  「え、え、えっと、ま、真宵……ちゃん?」


  ゴゴゴゴゴ……。今の真宵ちゃんが持つオーラを擬音にすれば、そんな感じ。背中からなにか得体のしれない化け物が見える気もする。


  「……へえ。そうかよ、四季」


  僕を睨みつける真宵ちゃんの顔は、なぜか真っ赤っかだった。


  「てめえは私の好意を利用して、あんな恥ずかしいことをさせたんだな?  せっかく私がゆうき、じゃなかった、仕方なく肩貸してやったのに、よぉっ!」


  え、え、ま、こ、殺されるっ!?

  僕は希望を求めて弥生ちゃんを見る。彼女は涙目になりながらふるふると首をふっていた。


  「そ、そんな、し、四季君……わ、わた、私を、私を騙していたんですね……?」

  「騙してなんか」

  「こら、四季」


  ぐい、と無理やり首を回され、真宵ちゃんの方を向かされる。ほっぺたに真宵ちゃんの柔らかい手があたって、ちょっといい気分……じゃなくて!


  「な、なにかな?」

  「なに私と話してる最中に弥生の方を向いてんだよ。弁解聞いてやるから、早く言え。さもなきゃ全身の関節を逆に曲げる」


  真宵ちゃんの手が肩にかかる。力がどんどんかかって……いた、いた、痛いっ!?


  「痛い痛い!  や、やめて真宵ちゃん!」

  「わかったから、早く言えってんだ」


  少しだけ力が弱くなる。今言わなきゃ多分僕は……。早く言わなきゃ、当たり障りのない嘘を……


  「嘘ついたら針千本飲ます」

  「楽だし、気持ちがよかったから黙ってました」


  あ、余計なことまで言っちゃった。


  「……ほお。へえ。わかった。とりあえず、そうだな……死んどくか?」

  「え、ちょっ、真宵ちゃ」


  真宵ちゃんの手が肩から首に動いていって……何をするつもり?


  「四季君っ!?」

  「え、なに、弥生ちゃ」

  「……この期に及んで……っ!  私によくも恥ずかしいことをさせてくれやがったな!?  しかもそのうえ他の女ばっかりっ!」

  「あ、しまっ」


  コキリキュ。


  首から、異音。


  「四季君っ!?  しっかりしてください、四季君、四季くーーん!」


  弥生ちゃんの叫び声を聞きながら、僕は意識を失った。

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