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第四十四話~みんなの帰宅!?~

二人きりになっていることを自覚すると、急になんだか、その、二人きり、という状況が強調されていく気がする。


  「どうかされました?」

  「え、いや、あの、どうして夜闇はついていかなかったのかな、って」

  

  苦し紛れ、というか照れ隠しにそんな質問をしてみる。


  「私が四季様の従者だからです」

  「……え」


  返ってきたのは、そんなそっけない言葉。


  「……と、言うのが建前で、本当は不安だったのです」

  「不安?」


  も、もしかして、心配してくれてたのかな?


  「最初はみな、四季様を看病すると言って聞きませんでした。普段なら跳ね除けるのですが、状況が状況でしたので、がまんして四季様の隣を譲りました」


  え、えっと。なんか僕が普段と違う気絶をしたと言われた気がする。なんか、深刻な病気にかかっちゃった、みたいな。


  「しかし……その」


  ふい、と夜闇は目を背けた。


  「どうしたの?言ってよ」

  

  どうしたのだろうと思いながらも、先を促した。


  「ご、ご命令とあらば」


  いや、命令なんて強い口調じゃなかったよね?

  でも、夜闇が『命令』にしたがっていた理由は、すぐにわかった。


  「まず、暴力女ですが、四季様を起こそうと躍起になって、その、ほっぺたを叩き続けました。……あ、もちろん軽くですよ?だから、大丈夫です。そう、大丈夫なんですよ?、だから、何も心配はいりませんよ?」

  「余計不安になるよ!」


  何があったんだ一体!?


  「こほん。次に、零です。彼女は四季様を治そうと躍起になって、その、あの……い、いえ、命令なのです、包み隠さず全てを言います。あなたを改造しようとして、裸を」

  「も、もういいよ!」


  その先は言わないで!きっと夜闇が止めてくれたんだろうけど、もし僕が知らぬうちに改造人間なっていたとしても、僕はいい。知りたくないよそんな事!


  「そうですか。では、最後に四様さんですが」

  「ですが?」


  きっと、あの子だけだよ。四様だけが、ちゃんと看病を……


  「怪しげな祈祷を始めまして、危うくこの部屋が燃えかけました」

  「まさかの失敗だよ!?」


  というか僕、気絶しても全く平穏が戻ってない!なんて不運だよ……。


  「けれど、四季様の意識回復を一番助けたのはおそらく、四様さんの祈祷かと思われます」


  四様が一番僕の回復につとめてくれた、ってことはよくわかった。けど、けどそれでも……。


  「そろそろみなさんが帰ってきます。騒がしくなると思うので、今はお休みください」

  「う、うん、わかったよ……」


  なんか、あの子達が帰ってきたら平穏なんてない、みたいな言い方だね……?でも、たしかに今僕すっごく疲れてる。お言葉に甘えて、休ませてもらおうかな……。


  ガチャ。


  「ただいまです。……っ、し、しし四季君!起きたんですか!?よ、よかったです!わ、わ、私四季君の晩御飯買ってきました!」


  弥生ちゃんが、たくさんのスーパーの袋をさげて帰ってきた。


  「あ、ありが」

  「四季、食材を購入してきたぞ。これで君も……っと、起きていたのか」


  次に零が、弥生ちゃんと同じぐらいの量の荷物を手に、帰ってきた。


  「あ、零もなんだ、ありが」

  「おいこら四季!とっとと起きやが、って、起きてんのか。おら、エサだ。喜んで食いやがれ!」


  やっぱり真宵ちゃんが前の二人とおんなじぐらいの手荷物片手に帰ってきた。


  「あ、真宵ちゃん、ありが」

  「お兄ちゃん、おはよう!私、頑張ってお兄ちゃんを守ったよ!」


  四様が満面の笑顔で帰ってきた。手に荷物はない。


  「あれ、四様は何も買わなかったの?」

  「私も買っちゃったらお兄ちゃんのお腹が破裂しちゃうよ」

  「じゃあ、なんでついていったの?」

    「そう、それですよ!」


  弥生ちゃんが、不機嫌をあらわに言った。


  「四様ちゃんが、あれは買っちゃだめ、あれもだめ、これもだめ、ダメダメダメって言って全然お買い物させてくれなかったんです!だから、その、あんまりおいしいお鍋にならないかも、しれません……」


  申し訳なさそうに、弥生ちゃんは言った。


  「あのね、弥生さん!鍋にする、って言ってるのになんであなたは辛いものばっか買おうとしたの!?お兄ちゃん辛いもの苦手なんだよ!?」


  あれ、四様は僕の好みを覚えてくれていたのか。……妙にうれしいな。


  「大丈夫だよ、お兄ちゃん、みんな好き勝手に買おうとしたけど、私が全部阻止したから!安心して!」

  「う、うん、ありがと」


  本気で四様の親切がありがたかった。


      

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