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第四十話~いまさら気付く事実!?~


  「……ああ、珍しくてめえじゃなく零のやつが倒れてたのは、そういうわけかよ」


  いつものようなさわやかな朝の登校風景。


  右側に真宵ちゃん、左側に弥生ちゃん、後ろ側には気絶した零を運ぶ夜闇。


  ……僕、ほんの数日ですごいぐらい変わった気がする。


  それもこれも、全部……


  「な、ななななんですか⁉な、なんでも言ってください!」

  「んだよ。こっちみんな」

  「なにか御用ですか、四季様」


  この子たちのおかげだ。


  「いや、なんでもないよ。ただ、賑やかでいいな、って思っただけ」

  「へ⁉い、いや、あの、その、わ、私も、し、四季君といられていいなって思ってます!」

  「私も、弥生さんと同意見どございます」

  「ったく!相変わらずてめえは気障ったらしいな!」


  真宵ちゃんはそう言って僕を小突く。本気の拳じゃなくて、軽くはたく感じ。


  「てかさ」


  校門前まで着いた。荘厳、というほどではないけど、ある程度は威厳のある校門。まだ早い時間だから、生徒のかずもまばらだ。


  「てめえは賑やかでいいのかもしれねえけどよ、四様はどうするんだよ?」

  「う……」


  真宵ちゃんの言葉がぐさりと僕を貫いた。


  四様。彼女は僕の妹で、三人が来た次の日図ったように現れた超絶ラッキーガールであり、今は僕達と一緒にボロアパートに住んでいる。


  ……重要なのは、ボロアパートに住んでいる、という所。


  僕の妹は十三才ぐらいだから、本来なら中学生であるはずなんだ。


  けれど、今のところ僕は四様が中学に行っているところを見たことがない。


  ……というか、僕はあの子がどこに通っているいるかさえ知らない。


  「あのな、あいつ今どこにも行ってねえんじゃねえの?」

  「え、そうなの?」

  「私に訊くんじゃねえよ。てめえの妹だろうが」

  「……ううん、確かに」


  でも、それがわかったところで、僕にはどうしようもないんだよなぁ。


  お金があるわけでもないし。はぁ、ほんと僕って甲斐性なしだなぁ。


  「あいつが学校に行きたくなけりゃ、そりゃあそれでいいんだけどな」

  「え?」

  

  随分珍しいセリフが真宵ちゃんの口から出てきた気がする。


  「優しいんですね、真宵さん……。私はてっきり『ああ⁉ひきこもりなんて人間味のすることじゃねんだよとっとと学校にいかせやがれ!』ぐらい言うんだと思ってました。……女のコ、だからですか?」


  弥生ちゃんが不思議な微笑みと一緒にそう言った。


  「あのな。私は別にひきこもりが悪いことだとは思ってねえし、学校だって行かなきゃいけないとこでもないと思ってんだよ」

  「……優しいんですね」

  「違えよ。私はなんか別の事情があるような感じがしただけだよ」


  そうぶっきらぼうに真宵ちゃんは言ったけど……


  優しいところもあるんだな、という僕の感想は変わらない。


  「まったく、暴力女らしからぬ発言ですね。……何か悪いものでも食べましたか?」

 「うっせえよクソメイド!ほっとけ!」


 夜闇が余計なこと言わなきゃいい話で終わってたのに……。


 

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