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第三十四話~夜闇VS零!?~

 

 静かな戦闘開始。


 夜闇が零ちゃんに向かって真っすぐに向かい、メイド服のどこに隠していたのかごついナイフを取り出して切りかかる。


 「ふん」


 それに対して零ちゃんはなんのアクションを起こさなかった。よけることも、うけることもしなかった。


 しかしそれでも、夜闇の攻撃は零ちゃんに届く前に、まるで見えない壁が阻んでいるように止まっていた。


 「なんですか、これは?」

 「NO.642『プロテクト』。物理攻撃をほぼ無効化する。……まあ、試していないが核攻撃の衝撃には耐えれる設計だ。……放射能は防げないがな」


 いや、それだけ防げれたらもう十分でしょ!?


 「ああ、そう言えばあなたは科学者、でしたね」

 「そうだとも。他にはこんなものもあるのだぞ……くらえ!」


 白衣から取り出したのは、拳銃。……拳銃!?


 「おいおい、零ちゃん、それじゃ殺しちゃう……」


 ここからだと届かないとわかっているのに、僕は言わずにはいられなかった。


 ぱぁん!


 軽い音と一緒に吐き出された、ワイヤー付きの銃弾。速度はゆっくりで、それほど速くはない。それでもメジャーリーガーが投げたボールの球ぐらいの速度はあるけど。


 それを夜闇はなんてことない動作でよける。


 「なんですか?このようなおもちゃで……」

 「……ふむ、『スタンガン』でもだめか」


 口上を無視し、拳銃をすぐに捨てると、今度は白衣からナイフを取り出した。


 カチリ、と零ちゃんが柄にあるスイッチのようなものを押すと。


 ピィィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイン!!


 すごい高周波の音が、闘技場中に響き渡った。


 こんなに離れているところからでも十分耳に痛いのに、近くに居る夜闇はもっとうるさいだろう。


 「……なんのまねです?音で攻撃ですか?」


 まったく意に介さない、といった風に零ちゃんに訊く夜闇。え、うそ平気なの?


 「ふむ、これでもだめか?自信あったのだがな……。まあ、いい!NO.235『ソニックナイフ』!」


 叫びながら、零ちゃんは高音を発するナイフを夜闇に突きつけ、突進する。


 「いくら強い武器兵器を身につけようとも、やはりあなたは素人ですね。『十六夜いざよいつき十字じゅうじ』」


 零ちゃんは思い切り振りかぶり、渾身の一撃を夜闇に繰りだすが、ナイフが夜闇のいたところに届くころには、彼女はもういなかった。


 どこに行ったのか、と零ちゃんが確認する前には、夜闇は零ちゃんの後ろで、その白い首筋にきらめく刃を突きつけていた。


 「……そのナイフ、なんですか?」

 不思議そのもの、といった風に夜闇が訊く。顔は無表情のままだけど。


 「刃を高速振動させて切れ味を上昇させたナイフだよ。まあ、ありていにいえばチェーンソーを小型化したもの、かな?」

 

 その答えを訊いて、夜闇はしばらく考える。


 そして。


 「ここで降参して私にそのナイフを譲るか、ここで死ぬかを選んでください」


 まるで当然であるかのように、降伏の次に自分の要求を告げた。

 

 「やれやれ。この状況で選べもなにもないだろう?降参だよ。こいつは少々ボクには身に余っていてね、ちょうどよかったよ。末永く、よろしくね」


 「了解しました」


 零ちゃんはナイフのスイッチを切って、高音を止める。

 



 勝者、十三夜月夜闇――。


 決勝進出だった。





 

 

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