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第三十二話~闘技大会!?~


 「お兄ちゃん……起きてる?」

 暗い部屋に、か細く、確認するような声が響いた。


 「起きてるにきまってるでしょ。電気消して二秒も経ってないよ?」

 

 なんか調子が狂う。いつもの四様はもっと堂々としていて、力強い。それなのに今の四様はとても弱気で、頼りなかった。


 「……お兄ちゃん、私ね、明日……戦うんだ」

 「何それ、聞いてないよ」

 

 四様が、戦う!?


 一体だれと!?どうやって!?


 「……私、なんだかこの里の人たちに示さないといけないみたい。……お兄ちゃんの近くに居ていいのかどうかを」

 「そんなの示すまでもないよ。君は僕の近くに居ていいんだ。いいんだよ」

何をこの里の人達に吹き込まれたんだろう?僕のそばにいていいかどうかなんて、誰かに許可を取らないといけないなんて今までこの子は言わなかったのに…


 何考えてるんだ、この里の連中は!?四様に戦わせる!?どうせエキスパートをぶつけてきて四様をつぶすつもりだろう!?こんな女の子を虐めてなにが楽しいんだか……


 「……それでね、私、勝とうと思う」

 「……どういうこと?」


 僕の記憶が正しければ、四様は武術の類は一切やっていないはずだ。喧嘩は確かに強かったけど、それでも運動は苦手な方だった。


 

 

 「……私、勝ちたい。勝って、弥生さんになにが起こってるのか知りたい。……知らなきゃ。友達、なんだから」


 友達。


 弥生ちゃんの控えめな笑顔が頭をよぎる。

 

 「……僕も、頑張るよ」

 「うん」


 きっと僕はなにもできないんだろう。でも、見守って、応援するぐらいはできると思う。

 絶対に、弥生ちゃんを元に戻して見せる。


 僕は誓って、目を閉じた。


 隣では、四様の寝息が聞こえていた。



















 ……次の日。

 僕は起きてすぐにこの里の領主に御目通しをされることになった。


 「……ふむ、弥生の許嫁か」

 「はい、そうです」


 淡白で簡潔な物言い。


 これがあの弥生ちゃんだなんて、一体だれが信じれるのだろうか。


 「……ふん、まあいい。わしの名は睦月。如月睦月なり。この如月戦闘術の長よ」

 荘厳と厳格さをまとった声色で、堂々と名乗りあげる睦月さん。


 「僕の名前は、秀句四季です」

 「私は、秀句四様です」

 

 僕と四様が自己紹介。


 「……東堂間宵だ、です」

 

 一瞬ため口を利きそうになって、言いなおす間宵ちゃん。


 「十三夜月夜闇です」

 「……十三夜月?」


 睦月さんの隣に居る純和服の切れ目の女性が、夜闇の名前に反応した。


 「はい、私は元『月』の住人。今は四季様にお仕えさせていただいております」


 夜闇の返答が何かまずかったのか、その女性は睦月さんに何やら耳打ちをすると、元のたたずまいに戻った。


 ――何を言っていたのだろう?


 「ボクは心葉零」


 睦月さんほどではないにせよ、かなり堂々と言い放った零ちゃん。子供っぽい外見とは裏腹に、何やらすさまじいオーラを感じる。


 「……ふむ、よくわかった。……四季殿は顔に似合わず、色好みなのだな」

 「違います!」


 全然わかってない!僕をそんなすけコマシみたいに言わないでよ!


 「ぬはは、冗談だよ」


 睦月さんはそう快活に笑うと、指を鳴らして周りの人たちに何かを指示する。


 「お主たちに来てもらったのには二つ、理由がある」


 ががが、と睦月さんと女性の間の畳が割れて行き……いや、その後ろの空間も割れてる?一体何が……


 「一つは、四季殿が従えているその女性たちに弥生と並ぶ資格があるかどうか」


 ああ、そうか。割れてるんじゃない。開いているんだ。

 カパリとさながらドールハウスのように家が開き、外が見えるようになった。


 「もう一つは。


 如月戦闘術史始まって以来の伝説、如月弥生の実力を……四季殿に見せたくてな」


 その開いた先にある外に広がる光景は、まるで闘技場のようだった。 


 中央に位置する一辺20メートル、高さ1メートルほどの正方形の土台。

 その周りを十メートルほどを囲う芝生の地面。


 そして、全体を囲うようにしてある、観客席。


 観客席は満員御礼で、立ち見をしている人までいるぐらいだ。


 「如月戦闘術は世界に名だたる流派。故に、このような公式性のない試合でも、こうして人が集まる、というわけじゃ」


 すでに――土台(以降はリングと言おう。ロープこそないがそれにしか見えない)にはもう人が二人上がって、戦闘を繰り広げていた。


 

 斬る。切る。防ぎ、返す。それをかわして、反撃。


 武道に関して素人な僕が表現できるのはこれだけであとは一瞬一瞬の連続。

 このリングに妹や間宵ちゃんたちが上がるのはわかっているのだが、こう思ってしまった。


 きれいだ、と。


 こうして全ての技術を持って、戦う。それはとても洗練されていて、無駄がない。その動作一つを取ってみても、美しい。


 「……すげえ……!すげえよ!四季もそう思うだろ!?」


 そして、暴力女こと間宵ちゃんも、僕とおんなじことを思っていたようだ。


 「……さ、控室へ向かうがいい。お主らの試合は最初の方だ。……よもや一回戦で負けるなどということは……あるまいな?」


 その問いにみんなは、


 「おうよ!」

 「当たり前です」

 「フン、当然だろうな」

 「当たり前よ」


 と、頼もしい返事をしたのだった。


 ……いろいろ不安だなあ……

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