第二八話~反省、でもまた!?~
……ああ、私はバカだ。
「……あのな、四様」
「……はい」
私は部屋の隅で壁の方を向いて膝を抱えている。
「私も一応、女の子なわけだ」
「……はい」
多分陰鬱に沈み込んでいるだろう私の背を、間宵さんが優しく撫でてくれる。
「だから、かわいいものが好き、だとか、かわいいものに触りたい、っていう気持ちはわからんでもない」
「……はい」
夜闇さんと零さんはさっきからトイレに行っている。
……きっと陰で私のことを笑ってるんだ、そうなんだ!
「……ま、まあ、その、だな。……ええと、……な?」
「……はい」
ああ、できることなら霞になって消えてしまいたい。
「……その、私に抱きついたたり頬ずりしてきたり、その、……胸とか、触ったりとかは、……その、うん、誰にも言わねえ」
「……うわああああああああああああん!」
そうだそうだそうだ!私、間宵さんに突発的に詰め寄って、抱きしめて、頬ずりして、おっぱいとか触って、それで、それで……もっと凄いこともした気がする!
「お、おい、泣くなよ……」
「だ、だって!だって!わ、私、私ぃ……」
昔から、こうだった。
かわいいものに目がない。
可愛い!と思ったらその瞬間頭のヒューズが飛んだみたいになって、気が付いたら抱きしめたりキスしたりしていたのだ。
で、小学校の時についたあだ名が『神抱き魔』。
『神様に憑かれた抱き付き魔』を縮めたものらしい。
まったく不名誉なあだ名だった。
しかも神様に憑かれてる、ってところから何を勘違いしたのか私に抱きつかれたら幸運が寄ってくるということにいつのまにかなっていて、目いっぱい可愛い恰好して私のところに可愛いポーズでやってくるのだ。
でも、全然そういうのは可愛くない。可愛いのはやっぱり、さっきみたいな間宵さんとか、普段の弥生さん……。ああそうだ、夜闇さんとかも可愛いところがあるんだよな……。ああ、抱きつきたい……
「おいおいおいおいおい!また変な目の色になってんぞ!?」
「……ああ、……モフモフ……っは!?」
ま、またやるところだった……
「……すみません」
「い、いや、いいけどよ。誰にも言わねえし。……で、ちょっとマジな話するぜ。クソメイドも零もいねえうちに」
少しだけ、真剣な顔になった間宵さんも、かわいらしくて……その無理やり男らしくふるまっているところがまた、イイ!
「……鉄拳制裁がお望みなのか?」
「ち、違います!」
あ、危ない……拳がとんでくるところだった……
「……まあいいや。……で、話始めるけどよ、弥生はあれ、どうなったんだ?」
「いきなり質問ですか?」
いや、正直言って私運がいいだけの女の子ですから。荒事には向かないですよ?
「……まあ、私の中でちゃんと仮説は立ててんだけどな……ちょっと信ぴょう性に欠けるって言うか、頼んねえって言うか……まあ、とにかくお前の意見が聞きてえ」
「ま、まあ、そう言うことだったら……」
意見、ねえ。と言われても本当に弥生さんに関してはわからないことが多いですけど……仮説ぐらいなら……今でも立てれる。
「まず一つ。これオーソドックスだけど『二重人格』。この場合は医学的に言う多重人格じゃないわね。多分この里に生まれてくるものはみんな戦闘人格を持ってる……とかそんな感じ」
「で?他には?」
「次に、誰かに乗っ取られてるって場合。……精神を完全に乗っ取るなんて方法聞いたことないけど、実戦仕様の如月戦闘術ならそれぐらいあるんじゃない?」
「なるほどな、で?」
「最後に、弥生さん自身が里にいた時に精神が戻ってるってこと」
「……どういうことだ?」
「昔はあれが、弥生さんで、長い間都会に来てて丸くなったけど、こっちに戻ったせいで幼児退行みたいに精神が戻っちゃったってこと」
なにも情報のない今の時点で予測できるのは……これぐらい、かな?
「……はあ~!すげえな、やっぱり。お前なかなか頭いいな!私全然なにが起こってんのかわかんなかったぜ……」
「仮説立ててたんじゃなかったんですか!?」
「まあ、その、あれだ。……てへっ」
「『てへっ』じゃない!」
なんだそれ……まったく、横着な人だ。
……でも、さっきの『てへっ』……可愛かったなあ……
「……あの、もう一度やってくれる?さっきの」
「え?……こ、こうか?て、てへっ」
頭に丸めた手をあてて、『てへっ』……なんと単純でなんとかわいらしいしぐさだろう……。
「……もう一度です……」
「お、おう……てへっ」
「もう一度……」
「……おう?」
か、か、可愛い!かわいい!抱きつきいいいいいいいいいいいいいい!
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
頭のヒューズが飛びました。
抱きっ!カプリ……!はむはむ、もふもふ……
「うわ、なにを」
ぎゅっ……!ちゅ!
「やめ、それは」
なめなめ……もみもみ。
「う、はう……や、やめ」
あーん
「お、おい?それは、さすがにまずいんじゃないか?い、いいか、四様、わ、私も、い、一応女の子だ?だ、だから可愛いものがスキってのはよくわかる。よ、よくわかるがよ?それは、違うんじゃないか?」
あ~~~~~~~~~~~ん
「お、おい?聞いてんのか?お、おいおいおいおいおいおいいいいいいいいいいいいいいいいい!聞けよ!いいか!食人行為は大抵どこの国でも禁忌とされて、この国だって例外じゃな……お、おいおいおいだか、ら、そこは、だめだって、言って……お、おい!そ、そこは四季のために、じゃなかった、その、だから、やめ、やめて、だめ……お、お願い……」
かぷり……
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
すみません、作者のコノハです。
一週間近く休んでました。
理由はインフルエンザです。死にかけました。
昨日の夜ようやく熱がひきました。
やっと小説書けます。
お待たせして本当にすみませんでした!
駄文散文失礼しました!
ご愛読感謝、また次回!