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第二十一話~弥生と新しい人物!?~


 「……で、今まで説教食らったり説明していたりしていた、というわけだね」

 「はい、そうです」


 僕は夜闇から聞いた、僕の気絶と同時に弥生ちゃんが間宵ちゃんに戦闘を吹っ掛けた、という話を半ば信じきれないでいたが、もう半分は信じていた。

 

 夜闇が嘘を言うとは思えないし、そもそもよく考えたら弥生ちゃんは戦えるんだった。なぜかはわ(・・・・・)からないが(・・・・・)、弥生ちゃんは戦闘をしかけて……


 「どっちが勝ったの?」


 うわ、なんか僕最低な質問してる気分。

 

 「おそらく、弥生さんかと。零さんが止めなければあの攻撃は入っていたでしょうし、全体的にも間暴力女は後手に回っていました。……暴力女は普段からですが、まさか弥生さんが戦うなんて……」


 「あはは、僕もちょっと信じられな」

 「四季君!」


 スパーンという感じの軽快な音が保健室の扉から聞こえ、件の女の子、弥生ちゃんが入ってくる。


 「四季君、大丈夫ですか?その、死んじゃったりとか、しないですよね……?」

 「あはは、気にすることないよ!慣れてるし」

 「な、慣れないでください、そんなこと!」


 弥生ちゃんにも言われちゃったよ。……僕たちがおかしいのか?


 ふつう、幼馴染同士って喧嘩するものじゃないの?

 

 「……ふむ、キミが思っている幼馴染との喧嘩、というものが知りたい、言ってみてくれ」

 「心を読んだ!?」

 「読めるはずがないだろう。でも、慣れるなと言われて不思議な顔をするということは自分が当たり前だと思っている証拠だ。……そこから推測しただけだ」


 「……すごいね、零ちゃん」


 少しの顔の表情やしぐさでそんなことまでわかるなんて……。熱海の時もそうだったけど、本当に零ちゃんって研究者、っぽいよね。


 「……ふん、ほめてもなにも出ないぞ。むしろ出してくれ。ほら、ボクに情報をくれ」

 

 「わかったよ……」

 僕は半ばあきらめつつも、零ちゃんの質問に答えた。


 「……互いのどっちかが気絶するまでするのが、幼馴染同士の喧嘩……かな?」


 三人が黙りこくった。

 

 ……あれ?

 『あはは~私もなんだよ~!』


 みたいな明るいノリを期待していたのに……なんで?


 「か、かわいそうに……四季君、今日からは私が守ってあげるからね!」

 「……四季様、今回ばかりは暴力女から四季様をお守りするため、弥生さんと協力します。……一緒に頑張りましょう、弥生さん」

 「はい!」

 

 弥生ちゃんと夜闇はなんだが結束しちゃってるし。


 「……ふむ、インプリンティング……いや、習慣か?……どちらにせよ、哀れなのには変わりない……。四季、今までつらかったろう?ボクが間宵を説得しよう……」


 コンコン。


 零ちゃんも新たに決意している時、保健室に控えめなノックが響いた。


 「はい?」


 僕はすぐに答える。


 間宵ちゃんかな?


 ……いや、あの子がノックなんかするわけがない。……いや、するんだろうけど、僕にはしないだろうな~って思っただけだよ?全然、これっぽっちもノックする間宵ちゃんが想像できないとか、そんなんじゃないんだからね!?


 「あの、如月弥生という生徒がここにいると聞いてきたのですが……」

 「ひう!?」


 扉の向こうから聞こえてきた老獪な男の人の声に、弥生ちゃんは目に見えて動揺する。

 「……弥生ちゃん?」


 それだけでなく、手に持ったかばんからナイフやらバットやらメリケンサックやらの携帯武器を取り出し、

 「あ、あの!みなさん、これ持って待機しててください!」

 夜闇、零ちゃんに渡した。


 「どこに行かれるのです?」

 「どこに行くんだい?」

 

 二人は武器を受け取ったまま訊いた。


 「逃げます!四季君、しばらくの間ごめんなさい!私のこと、忘れないでくださいね!」


 そう言って、保健室の窓の方に向かって走り出した!?


 「弥生ちゃん何やって……」



 パリーン!




 ………ええっと、一度整理してみよう。

 来客が来た。

 で、その人は紳士的に弥生ちゃんがいないかどうか訊いてきた。

 その人の声を聞いたとたん弥生ちゃんの様子がおかしくなった。


 で、そのまま弥生ちゃんは保健室の窓からグラウンドに飛び出し、オリンピック選手もかくやという速度で走り、どこかへ行方をくらまそうとしている。


 「……すみません、弥生は今いませんが……」


 送れて、夜闇が扉の向こうにいる人に答えた。


 ところが、返答は返ってこなかった。どころかさっきから無反応だ。


 ……あれ?


 「……おかしいな?……あ……」


 不審に思った零ちゃんが保健室の扉を開けた。


 誰もいなかった。


 「……帰っちゃったのかな?」

 「い、いえ……違います……」

 「え?」


 珍しく動揺した感じの夜闇の声。

 ゆっくりと夜闇は手を水平にあげ、ある一点を指さす。


 僕と零ちゃんは同時に夜闇が指さした方向を見た。

 そして、絶句する。


 










 一人で逃げていたはずの弥生ちゃんの後ろに、バイクかと思うぐらいの速度で走って彼女を追いかけるおじいさんの姿が、増えていた。













 ……だれ?

  

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