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第一九話~些細なことから殺し合い!?~


 

 「死にさらせ四季の色ぼけ野郎がああああああああああああああああああ!!!」

 「うわああああああああああああああ!?」


 ドガゴキボキュ!


 家のキッチンに続いて聞こえてはいけない音が、今度は僕の身体から聞こえた。

 僕は地面、つまり教室の床に顔から崩れ落ちる。

 崩壊したキッチンを放置して登校した僕は、間宵ちゃんと出会うなりいきなり右フックそして右エルボー、ラストに本気の左正拳突きを食らわされた。

 

 もう意識は半分飛びかけてます。


 「ああ!?今度は妹と同居たあいい度胸じゃねえか!しかも夜一緒の布団に寝たんだってな!?」


 「そ、それは」


 それは、四様がさびしいからって、泣きついてきたから……


 「問答無用だシスコン野郎!」


 ガシ。


 僕は頭をつかまれ、立たされた。

 え、間宵ちゃん、僕の頭を両手でつかんでなにするつもり?

 「は、決まってらあ。てめえの色ぼけた頭を叩きなおして……やんだよ!」




 こきゅ。


 僕の身体は間宵ちゃんを向いたまま、僕は後ろを向きました。向かされました。……って、これ、まずくない?



 「きゃあああああああああ!!四季君、大丈夫?……間宵さん、いくらなんでもやりすぎです!首を百八十度ひねるなんて何考えてるんですか!四季君死んじゃったらどうするんですか!」

 「四季様!大丈夫ですか?……どきなさい、暴力女!今すぐどかないと四季様が……!」

 「おいおいおいおい!いくらなんでも死ぬだろう!キミは少し力加減というものを覚えたほうがいい!……四季、落ちつけ、今ボクが直してやる。だから、もう少しだけ生き延びるんだ。なあに、すぐ済む」


 

 あ、やっぱりまずいんだ。みんなの騒ぎようが普通じゃない。……僕死ぬかな?


 「うっせえ!こんなの私らの間じゃ日常茶飯事だ!こうすりゃ治んだよ!……ほら、よ!」


 

 

 ぽきゅ。


 

 また小気味いい音がして、僕の首は元に戻って、鬼の形相の間宵ちゃんに視線が戻される。

 「……は、色ぼけ野郎のツラってのはほんとに鼻のした伸びてんだな。……死にやがれ!」

 「そんな理不尽なあああああああああああ!!」


 ガコーーーーーーーン!。


 すがすがしいほどきれいに決まったヘッドバットを食らって、また僕は学校で気絶しました。


 ………出席日数大丈夫かな?


 




 最後に見たのは、騒ぐ皆と、……え、ええ?

 



 間宵ちゃんに向かって飛びかかる弥生ちゃんだった。














 「……ん」

 起きると昼休みになっていた。


 「四季様、動かないでください。首、く、首が……」


 ああ、あれ、さすがの夜闇も驚いたんだ。


 「大丈夫大丈夫、子供のころからやられてるから慣れてるよ」

 「なれないでください」


 まあ、されるたびに死を覚悟するわけだけど、まあ、今生きてるならいいじゃんか。……生きてるっていいなあ……。


 「……あれ、みんなは?」

 「暴力女と弥生さんの殺し合い……ではなく、大喧嘩の仲裁、および教師への説明をしています」

 「え、ごめんもう一度お願い。誰と誰が喧嘩したって?」


 しかも夜闇、今殺し合いって言いかけたよね?どんだけ激しかったのさ?


 「……私も驚いています。暴力女と、弥生さんです」

 ……ええと、僕はこう言う時、なんて反応したらいいんだろう?

 










 「……は?」












 うん、これ以外に言葉が出ないよ、やっぱり。


 間宵ちゃんと夜闇ならまだわかる。でも、弥生ちゃんと……?

 

 ……何があったんだろう?













 ―――――少しだけ、時は巻き戻る。












 「四季君!……よくも、四季君を!」


 プチリと、彼女、如月弥生の中で何かが切れた音がした。

 弥生は去年、いじめられていた。


 いじめられていた理由は『おどおどしてるから』『弱そうだから』


 しかし、後者の理由に当たってはまったくの間違いであった。

 去年彼女をいじめていた張本人達もこのクラスにいるのだが、今日彼女たちはそれを目の当たりにする。


 ある理由で弥生への攻撃をやめた彼女たちだったが、今はそんな些細な理由よりもとにかく、手をついていじめのことを謝らなければ殺される、と本気で思っていた。


 ……さて、ここで少しだけ話をずらそう。


 現在クラスの中でも一番女の子に囲われている男子、秀句四季。

 彼を気絶させた張本人、東堂間宵のことだ。


 この学校にある特定の人物を表すあだ名、というか『通り名』というものは数多くある。

 しかし、通り名を持っている人間は、たった一人しかいない。


 『暴君』だとか『秀句四季の外付け悪意』とか『学園の裏の女王』だとかの通り名は、全てある一人を指している。


 その一人が、東堂間宵。


 あらゆる武道に精通し、暴力的な技術に異常な関心、興味を抱き、口調は男言葉。


 自他共に認める『学園最強』だった。


 ……ここで、如月弥生の話に戻る。


 彼女のイメージは、弱い、おどおどしている。

 体育でもいっつも弥生はビリだし、彼女が入ったチームは必ず敗北を喫することになる。

 そして、おっとりとしていて怒ることがない。


 そんなイメージのはずの彼女が、キレていた。


 「……んだよ、弥生」

 「よ、よくも四季君を!毎日毎日毎日!四季君ばっかりいじめて!許しません!」

 「へえ、許さなかったらどうすんだ?」

 

 誰もが、無謀だと思った。

 間宵は脅威こそ感じていたが、こんなところで暴力沙汰を起こすとは、とうてい思えなかった。


 「私を助けてくれた四季君を、今度は私が守るんです!


 行きますよ間宵さん!全力で私の全力であなたを倒します!」


 「やってみるか?」


 そんなことをしたらこの騒ぎがどうなるか、わかってんだろうな?

 そう言う意味で、間宵は言った。


 でも、周囲はそう受け取らなかった。

 こいつなんて一発で倒せる。


 そういう余裕の言葉だと誰もが思った。

 そしてその誰もに、弥生自身も入っていた。



 「……!!なめられましたね……!」


 弥生はそう言うと、かばんからメリケンサックを取り出し、指にはめる。

 それだけでも周囲は大騒ぎなのに、今度は、

 「……あなたを殺す気で行きますので、注意してくださいね」


 そんなセリフと、間宵も凌駕しかねないほどの殺気と闘気。


 「……マジで、やる気かよ……!」


 ここで初めて間宵は自身の失敗を悟った。

 恋する乙女をからかってはいけない。


 そんな言葉が、彼女の頭に浮かんだ。


 「如月戦闘術次期党首、如月弥生、行きます……!」

 「……おいおいおいおい!」


 一瞬の動作で跳び上がり、弥生は間宵に襲いかかった。

 それと同時、秀句四季が完全に気絶した。

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