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第一六話~戦闘後の露天風呂!?~



 僕たちが泊るのは、いい感じな旅館だった。

 雑魚寝で、食事も質素なものが多いけど、安いし、何より気が楽だ。

 旅館に到着早々、四人はお風呂に入ると言ってきた。まだお昼前なのに。戦ったからかな?


 「……さて、と。私は風呂にはいってくるけど……四季、覗くなよ?覗いたら殺すからな!?」

 「私は湯浴みさせていただきます。……では」

 「あ、あのあのあの!わ、私、お、お風呂入ってくる、けど……の、のの、覗きたか、たかったら、……その、覗いても……いいんだ、よ?」

 「……はあ。何を言っているんだいキミは。そんなことしたらボクらも一緒に覗かれる。そんなのはごめんだね。じゃ行くよ。四季も、この子のことを真に受けるなよ」


 

 そして一瞬うちに、四人が消えた。


 「……ふたりきりになっちゃったね、お兄ちゃん」

 「そうだね」


 なんだか、ありえないことのような気がする。もしかしたら四様が二人きりになるよう望んだのかも知れない。

 でも、僕は四人が気を利かせてくれたと信じたい。


 「私、帰るとこなくなっちゃった。……この年で、もうホームレスだよ」

 「……」


 「私、家族を不幸にしちゃったよ。……私、悪い子だよ。私、私……」

 

 四様の浮かない顔を見ていると、何も言えなくなる。


 「四様のしたことは、確かに悪いことなのかも、知れないね」

 でも、そんなこと、言っている場合じゃない。妹が苦しんでいるんだ。頑張らなきゃ。


 「でも、祖父母達がしたことも、悪いことだよ。今まで四様をさんざん利用してきた。……その報い、とまでは言わないけど、復讐の権利ぐらいあるさ。……こんなこと妹に言う僕も、悪い子だね」


 「……お兄ちゃん………………あ、ありがとう……」


 ん。少しだけだけど、顔色が戻ったかな。

 

 「……ねえ、お兄ちゃん。一緒に住ませて、もらえないかな……?」

 おずおずといった雰囲気で、四様が言った。何もいちいち言わなくても願えば手に入るだろうに、四様はそれをしなかった。それだけで、もう充分に四様はいい子だ。

 

 「いいよ」


 即答した。

 「……いいの?」

 「いいさ。たった一人妹の頼みを断るわけないよ!」


 そう僕が言うと、少しだけ晴れやかになった四様は、意気揚々と、部屋を出ようとする。

 「どこ行くの?」

 「お、お風呂!覗いたら知らないから!超絶悶絶級の不幸、お見舞いするからね!」


 そう言ってパタパタと駆けていく四様を見ていると、とてもほほえましい気持ちになる。


 「……僕も行くかな」

 ゆっくりとした足取りで、僕はお風呂場に向かった。







 かぽーん…………


 そんな音が聞こえてきそうなほど、ゆったりとしたお風呂場だった。

 露天風呂、という奴だ。

 

 ここから海が見えて、そのきれいさがお昼間に風呂に入った異和感を完全に吹っ飛ばしてくれる。


 「ああ……来てよかった……」

 

 もしこの光景がなかったとしても、僕はそう言っただろう。

 なんたって、四様を救えたのだ。


 それだけでもう、十分すぎるほど十分だった。

 

 「……何すんだ夜闇!!おいこら!四季がいないからって、おい……!」


 と、僕がくつろいでいると、隣から声が聞こえた。


 え……


 どうも、ここは薄いついたてを阻んで隣同士で男女が分かれているようだった。

 露天風呂はそんなにスペースがとれないのはわかってるけど、それでもやっぱりなぜかおいおい、と思ってしまう。


 「……なぜ、普段はあなたは平べったいのにここではこんなにもあるのですか。四季様にご奉仕するためですか」

 「違え!?激しく違うよ夜闇!?ってか、そもそも何言ってんだよクソメイド!」

 「私は今メイドではありません、ただ純粋に四季様を好く者です」


 うわあ……聞いてるこっちが恥ずかしくなる告白だった。

 ……てか、なんで?なんで夜闇は、僕のことが好き?


 「……ほう、それは実に面白いことを聞いたな。ふむ、ここは裸の付き合いというやつだ、ボクも想いのたけを……おや?……ふむ、やはりやめておこうか」

 何かを言いかけた零ちゃんは、急に一人合点して、言葉を区切った。


 「どうしてですか?」

 まるで僕の心を代弁するかのように言った弥生ちゃん。


 「ふむ、……そうだね、……どうたとえようか……うん、このそばに神様がいるんだよ、だからだね」

 「神様?そばに?」

 

 神様の運がついた女の子、四様が訊いた。


 「ああ、そうさ。神様だよ。……神様って、何をするかしってるかい?」

 「それはもちろん……あっ!そういうこと」

 「わかっちゃいましたよ、私」


 へえ、早いなあ。四様も弥生ちゃんも頭の開店結構早いな。……で、一体どういう意味なんだろう?


 「間宵さん、夜闇さん、やめておいたほうがいいですよ。『神様』が聞いています」

 

 「はあ!?何言ってんだよ弥生。神様なんていやしねえんだよ」

 「そうです。私の神は四季様のみ。他の神々は必要ありません」


 「いや、この場においてはいるのだよ」

 「ますますわかんねえんだけど!?」

 「わかりませんが」


 「くすくす……わからないなら、わからないままでいいです。続けといてください」


 あ、あれ?なんか弥生ちゃんイメージ違う……


 「……弥生、なんか落ち着いてねえか?いつもと違うって言うか……」

 間宵ちゃんの質問に、弥生ちゃんは、


 






 「私はね、好きな人の前だと、どうしても緊張してしまうんですよー!」










 必要以上に叫んで、答えたのだった。



 







 ……『神様』って一体何のこと?

 



 こんにちは、作者のコノハです。

 さてさて、そろそろシリアス部分も終わり、妹も増えてまたまたどたばたやっていきます!


 ……さて、ところで、零がたとえた『神様』、なんのことかわかりますか?

 


 では、駄文散文失礼しました!

 ご愛読感謝、また次回!

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