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第一五話~戦闘終了と腕試し!?~

 


 ボン!

 

 部屋に小規模な爆発が起こると、数人の用心棒が倒れた。


 「ふむ、『スタンボム』成功、と。……まずまずの出来だな」

 「おいてめコラ!」


 スパコーンと小気味いい音を立てて、零ちゃんは後頭部をはたかれた。

 はたいたのはさっき爆発が起きた近くにいた間宵ちゃん。


 「むう、何をする」

 「何をする、じゃねえ!てめえ私も巻き込むつもりだったろ!?」

 「キミみたいな野生児にでも効くのか試してみたかったからな、巻き込まないつもりとは言えないな」

 「てめえもこいつらと一緒に私の拳の餌食になるか?」


 女の子とは思えないほどの殺気をまとわせて零ちゃんに詰め寄る間宵ちゃん。

 その後ろを、用心棒の一人が迫る!


 「間宵ちゃん、危ない!」

 僕は思いっきりそいつを蹴ろうと、走って


 「ぎ」


 悲鳴の途中で、用心棒が倒れた。

 「は、はう……や、やっちゃったです……」


 手にメリケンサックはめた弥生ちゃんが、茫然と言った。

 「やるじゃねえか」

 「……ど、どっからそんなのを?」

 てか、なんで弥生ちゃんが?


 「わ、わた、私、如月戦闘術、っていう昔からある武術を、……その、たしなむ程度ですけど、や、やってます!」


 「如月戦闘術、ねえ」

 「……ふむ、如月戦闘術、か」

 「知ってるの?」

 「ああ。殺人術が多い実戦仕様の武術だな。暗殺や集団戦も想定していて、ときたま軍隊でも使われることがあるほど完成度は高い。

 

 武器を使うことに抵抗を抱かず、とにかく『勝利し、生き残ること』を念頭に置いた武術だ。

 しかし、最近は実戦が減ったから日本でかなりすたれたがね」


 「ああ、そうですそうです!その通りです!……すごいですねえ~零さんは」

 「まあ、そんな感じだ、博学だな、零は」

 

 弥生ちゃんはそう言って零ちゃんの頭をなでるけど、その手にはまだメリケンサックがはめられていた。

 ……なんだか、弥生ちゃんが怖い。


 「……むう、ボクは子供じゃないぞ。ほら、敵だ。戦おう」

 「おうよ!ささっとやってちゃちゃっと遊ぶぞ!せっかく熱海に来たんだ、温泉だ!」

 「はいです!」


 みんなは仲良くそう言うと、各々自由に戦っていく。

 

 夜闇は一人黙々と数を減らしていて、もうすぐで半数を彼女一人が倒したことになる。


 「おらおらおらおらおら!『裂波れっぱ昇竜脚しょうりゅうきゃく』!」


 間宵ちゃんは闘気をまとわせた蹴りで相手を上空にかちあげた!

 

 「ほらよ、『追撃ついげき降竜拳こうりゅうけん』!


 落ちて来た敵に闘気をまとった本気のこぶしで地面にたたきつけた!

 

 「……ほらよ、てめえら。かかってコイや。片端から私の拳、あしの餌食にしてやらあ!」


 一括すると、敵は二歩、三歩下がった。

 しかし、それは失敗だった。

 彼らはあまりにも間宵ちゃんの威圧が強すぎて、気付かなかったのだ。


 後ろに、ナイフを構え目を光らせている夜闇と、殺意こそないがバットを手に持ち、何やら居合の構えをしてずっと待っている弥生ちゃんが、いることを。



 「行きます。我が名は十三夜月夜闇。主人四季様の命令をお守りする、従者です」

 「い、行きます!私は如月弥生。四季君を守る、こ、こ、こい、……友達です!」


 その言葉で、間宵ちゃんを恐れて下がった用心棒が、一斉に後ろを振り返る。

 その、刹那。


 「『月牙十三夜』」

 「『居合・瞬速散撃しゅんそくさんげき』!」


 キキィン!


 一瞬でいくつもの銀閃がひらめき、用心棒たちは全員もれなく倒れ伏した。


 「……ご命令、完遂しました、四季様」

 「や、やった!できた、できたよ『居合・瞬速散撃』!練習だったら何度やってもダメだったのに!」


 ……弥生ちゃんだけは戦えない(こっち)側だと思ってたのに……正直夜闇といい勝負なんじゃないか?


 「……おいおいおいおい!おい、弥生。……ちょびっとだ」

 「何がですか?」


 あ~あ、出ちゃったよ間宵ちゃんの悪い癖。


 「勝負しろ。てめえの如月戦闘術と勝負がしてえ」

 

 強い人間と戦いを申し込む、っていう悪い癖が。


 「……いいですよ、私も間宵さんの戦い方には興味ありましたし」

 ああもう、弥生ちゃんもしっかり考え方武人だし!


 僕だけか?僕だけがこの中で戦えないのか!?

 

 「……お兄ちゃん、ありがとう」

 「……僕は何もしてないよ。お礼ならあの四人にいいなよ」

 

 四様も戦ってなかったな。……でも、戦えないというわけじゃないと思う。結構筋肉あったし、身のこなしもそれっぽかった。


 「……言って来たよ。あとは、お兄ちゃんだけ」

 「そうなんだ。……どういたしまして」


 「おらあ、行くぞ!『竜頭直突りゅうとうちょくとつ』!」

 「行きます!『居合・鈍速強撃』!」

 

 僕と四様が会話している間に、すぐ目の前では闘気の拳と居合のバットが激突していた。


 「……夜闇、そろそろ旅館行こうか。二人を止めてきて」

 「了解」

 てくてくと、ゆっくりとした調子で夜闇は激戦を繰り広げる二人の元へ行き……



 「ぎゃ!」

 「きゃ!」


 

 夜闇は一瞬で二人をのすと、ずるずると引きずって僕たちのところまできた。


 「任務遂行しました、四季様」

 「……うん、車に連れ込んじゃって」


 なんかこの会話だけ切り取れば僕、完全に悪役だけどね……。




 とにかく、これでこの家にもう用はない。それは四様だって、一緒だろう。

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