第十二話~出発直前また喧嘩!?~
明朝2時に、僕は起こされた。
眠っていたのは僕と四様だけで、他の四人はずっと起きていたようだ。
何をしていたのか訊いてみたら帰ってきた答えは実にかわいらしいもので、旅行がわくわくして眠れなかったそうだ。
「さて、いこうか四季、四様。車はすでに届いているよ」
寝ていないはずなのに元気そうな零ちゃんにそう言われて、僕はアパートから出た。
「……なにこれ」
アパートの駐車場に、大きな車があった。
それも、十人ぐらいは乗れるんじゃないかってぐらいの大きな車だ。
「ボクの私用車だ。研究所に無理言って持ってこさせた。あやうくとらえられかけたけどね」
そう言えば、零ちゃんはどこかの研究所に属していて、零ちゃんは僕を研究すると言う名目でこっちに逃げて来たんだった。……悪いことさせちゃったかな……?
「気にするな。ボクは手に入れたかったからこの車を手に入れたし、行きたかったからこの車を手配させた。キミは何も悪くない」
そういう気遣いができる零ちゃんって、本当に大人だよなあ……体は子供のままだけど。そう言えばいくつなんだろう?高校に来ていたってことは高校生であることは間違いないんだろうけど……
「じゃ、じゃあ、行きましょうか、四季君!ふ、二人での、初めての旅行、ですね!」
「おい、弥生。二人っきりじゃねえからな?勘違いすんなよ?」
「は、はう……」
おどおどとしながらも勇気をだした弥生ちゃんを、間宵ちゃんが忠告する。……何でこんなに起こってるんだろう、間宵ちゃん。
「では、まいりましょうか、みなさん、四季様。では四季様、助手席に……」
「おい!?」
「あの!?」
「ああ!?」
夜闇が僕を助手席に座らせようとしたとたん、他の三人から猛反発。
「おいおいおいおい、夜闇君、まさかキミ四季の隣に座るつもりじゃあるまいね?」
「そうですが、何か?」
「な、何かじゃ、ないです!な、なんで夜闇さんが、四季君の隣に……」
「私が運転するからですが、何か?」
「あのな!行先知ってんのは四様なんだぜ?普通なら四様を助手席に乗せるべきだろうが!」
つまり、僕が助手席に座ることに対して、もめているらしい。……そんなに助手席に座りたいのかな?
「……お兄ちゃんって、結構ニブチン?」
「は?」
「……いや、なんでもないわ」
四様は諦めたように、首を振った。何か僕したかなあ……?
「……うらあああああああ!こうなったら力づくだあああああああああああああ!!」
そうやってこんどは零ちゃんと弥生ちゃんまでもを巻き込んで、喧嘩が勃発したのだった。
そろそろ、日が昇る。
時刻はだいたい6時ごろ。
「あの、みなさん朝ご飯にしませんか?」
「そうだな」
「おう」
「そうですね」
「いいわね」
「いいね」
僕らは弥生ちゃんの言葉に賛成する。
僕は助手席、弥生ちゃんは僕の後ろ、その横に間宵ちゃん、その隣が零ちゃん。
そして、後部座席には、夜闇が座っていた。
「……最後のご飯になるかもしれないしね」
「もう、お兄ちゃん、私の運転で事故すると思ってるの?」
思ってるよ……!
最終的に、なぜか四様が運転することになったのだ。
『私には神様の運がついてるわ。よっぽどのことがないかぎり事故なんてしないわよ』
それが、四様が運転席につけた理由の全てだった。
これで怖くない人間がいるはずがない。
……と、思っていたのだが。
「わあ……すごいきれいなお料理ですね……四季君が作ったんですか?」
「はん!四季は料理だけはうめえんだよ。私は毎日食ってたからわかるけどな!」
「自慢かい?その程度のアドバンテージ、すぐなくなるさ。なぜならボクらはともに過ごしているのだからね」
「その通りです。四季様のお料理を食したことが有利になるなど……」
そんな風に、僕の作ったお弁当を仲良くわけつつ言いあうぐらいには、なじんでいた。
「み、みんなは怖くないの……?」
僕はたまらず訊いてしまったけれど、
「あの、私、怖くないです」
「私もそんなに怖くねえな。四様の力が本物なのはずっと前から知ってるし」
「正直、私が運転するよりは事故の確率は少ないと思います。四様さんの運は株価を操作できるほどなのです、車の操作などたやすいでしょう」
「ボクもそう思う。多分どんなプロドライバーが運転するよりも安全だと思うね。なんたって神の御加護があるんだから」
意外にも、みんなはなじんでいた。
「ね?怖がってるのはお兄ちゃんだけだって!」
なんでみんな、こんな子供が運転する車で楽しそうにご飯なんて食べれるんだ~~~~~!?
僕の心の叫びは、心の叫びなのでもちろん誰にも届かなかった。
こんにちは、作者のコノハです。
……すみません、一日更新がなかったのにはわけがあるんです。
熱出して寝込みました。
はい、完全に風邪ひいて、今でも喉ごほごほ言わせながら書いています。
でも、クオリティ(そんなのあったのか)はいつものままを保証?しますので、どうぞ気楽にお読みください。
では、次回からはまた気合い入れて毎日更新していきますか。
駄文散文失礼しました!
ご愛読感謝です!
また次回!