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第十一話~三連休の旅行計画!?~



 「……すまん」

 「すみませんでした、四季様」

 

 二人はなぜか、僕に謝ってきている。

 何故だろうね?


 「あはは、どうして謝るの?なんにもしてないじゃないか!別に、謝らなくてもいいよ!」

 

 「う、……もう意地悪はやめてくれないか。頼む……」

 「普通にお叱りください、お願いですから」


 ……むう。


 「なんで二人は喧嘩してるの!夜闇、君がめちゃくちゃな提案するからでしょ!」

 「返す言葉もございません」


 「おいおいおいおい!てめえずいぶんと私の時と対応違うくね!?猫かぶりかクソメイド!」

 「間宵ちゃん!」

 

 僕が言うと口を閉ざす間宵ちゃん。


 「……わあったよ。で?いつ行くんだよ、熱海へは」

 「うーん、それなんだけどね、どうすればいいのかちょっとわからないんだよ」


 熱海へ行く、って目的はできたものの、そこまで電車で行くにしてもいくらぐらいかかるのか、とかそういう具体的なこと何一つわからないんだよなあ……


 「その辺の事情なら大丈夫だ。ボクがいる」

 零ちゃんが誇らしげにその小さな胸を張って言った。


 「どういうこと?」

 「電車で行くのもいいだろう、しかしここから熱海まで行くのなら五人で万近くのお金がいるぞ。四季はそれほどのお金を移動だけに費やせるのか?」


 無理。万単位のお金なんてすぐに使えるはずがない。


 「だから、車で行く。車はボクが持ってるし、免許なら夜闇が持っているだろう?なにせ、完全一歩手前、料理以外は完璧と公言しているのだから」


 零ちゃんが挑戦的な目を夜闇に向ける。


 「お察しの通り、私は車の免許のみならず、ありとあらゆる乗り物に乗ることができます。戦車も乗れます」

 

 そんなの乗れてどうするんだろう。

 それを訊いたまた夜闇が残酷なことを言いそうなので、黙っておいた。


 「なら、話は決まったな。どうせ三連休だ、じっくりと熱海を楽しもうじゃないか」

 零ちゃんがきらきらとした笑顔でみんなに言った。


 意外と、旅行好きなのかもしれない。


 「そうね。お兄ちゃんに私のことだけで来てもらうって言うのは申し訳ない気がするし。遊びの次いで、ぐらいがちょうどいいわ」

 

 四様も特に文句はないみたいだった。


 「……あれ、そう言えば四様、どうやってここまで?」

 そう言えばどうやって来たのだろう。


 「電車よ」

 「お金はどうしたの?」


 「お金なら配り歩いてもいいぐらい持ってるの。株って知ってる?」

 

 いくら僕でも株ぐらいは知ってる。


 「あれね、適当に会社選んだら勝手にお金が増えて行くの。私が選んだところは絶対に株価が上がるの。……それを何度か繰り返して、気が付いたら資産増えまくってて、小さな国なら買収できるほどになったわ」


 ……あれ、運とか特殊能力って金儲けに使ったらなくなるのが定説っていうか定番なんじゃ?


 「ま、そういうわけで、お金ならあるわけ。おばあちゃんたちもそれで楽してる」


 それなのに、まだ四様に能力を強くしろと。なんて勝手な。


 「……では、明日明朝出発しましょう。零さん、足の手配よろしくお願いします」

 「任されたよ。出発ごろに届けるよう言っておく。ま、それまで旅行の準備としゃれこもうか」


 「おう」

 「はい!」


 


 なんだか、楽しい三連休になりそうだ。


 僕は旅行鞄を押し入れから取り出しながら、そう思った。

 

 「……あ、あの……私、かばんないんです……」

 「はあ!?なんでだよ?」

 「ここには体一つできましたから……」

 

 「服は?」

 「抱えて持ってきた二着を洗い回しです……」

 「あ~……うん、服は私のかばんに入れろよ。スペースなら余ってっから」

 「ありがとうございます、間宵さん!」

 「お、おう……」


 ……まあ、とにかく楽しい旅行になりそうだ。


 「……キミは熱海に何をしに行くつもりだい?」

 「直談判でしょう?」

 「どんな談判をするのだろうか?参考までに聞かせてもらえないだろうか」

 零ちゃんがそう言いながら手帳に何やら書きこんでいる。タイトルは『研究手帳』とあった。

 

 「はい。まず、最初は建前として交渉を。一度でも断ったら、力づくで交渉を」

 「具体的には?」

 書き込みながら、さながら新聞記者のように訊く。

 

 「具体的には、ブラックジャックなどでの欧打や、ナイフなどの鋭利な刃物で皮を剥ぐ、などです」

 「……実に拷問に近いね?」


 「はい。最終的には拷問になると思います。二時間もやれば外国に四様さんをやろうなどという考えはなくなるはずです」

 「ふむふむ……」

 相変わらずブラックなことを平然という夜闇も、それを熱心に書きとめる零ちゃんも、僕は放っておいた。



 ……うん、楽しい旅行になりそうだ。……なんだか、最後の二人で自信なくしたけど。

 


 

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