第一話~プロローグ!?~
この小説には、ギャグ成分、少しの赤面部分、そのたもろもろがたくさんあります。
御用法に注意せず、いくらでも楽しんでください。
「す、す、好きです!結婚してください!」
「好きです。お仕えさせてください」
「興味が出た。研究させてくれ」
三者三様の告白、一人は告白にすらなっていない。
僕、秀句 四季の前に立っている三人の女の子。
なぜ、こんな状況になっているのだろう?
それを今から、説明しようと思う。僕でも、まだ把握しきれていないけど……。
僕の自己イメージは、どこにでもいる普通の男の子、だ。
実際、成績もそうだし運動もそうだし、身長、体重、座高、そして好きな女の子のタイプまでもが普通で平凡の中間な、そんな男の子、のはず。ときどき違うって面と向かって言われるけど。
でも、少しだけ人に誇れるところはどこかと訊かれると、僕は『人助けをするのが好き』と答える。
今日もいじめに遭っていた女の子を助けたし、ナンパされていた女の子を助けたし、おそわれていた女の子を助けた。
詳しい状況は自慢っぽくなるので省くけど、そうやって人助けができる、っていうのが僕の数少ない人に誇れるところだったりする。
で、いつものように学校を終え、幼馴染の東堂 間宵ちゃんと一緒に帰って、いつもどおりにおんぼろアパートの一室に帰った。
帰ってきて、数瞬。
かばんを置き終え、服を着替えてさてくつろごうか……という時に、インターフォンがなった。
「はい」
僕は休もうとしていたところ急にきた来客にいらつきながらも、出迎えた。
すると。
おっとり系の、前髪で目元を隠した僕の高校の制服を着ている女の子……確か、今日いじめられていた子……かな? その子が、
「す、す、好きです!結婚してください!」
と言ってきて。
モデルも裸足で逃げだしそうなほどの人形みたいな顔立ちの、長身でスレンダーなメイド服姿の女の人……あ、この人さっきナンパされていた人だ。その人が、
「好きです。お仕えさせてください」
と言ってきて。
眼鏡をかけてまるで研究者ですとでも言いたげなちびっこい白衣姿の女の子……あ、この子今日黒服たちに追いかけられていた子だ。その子が、
「興味が出た。研究させてくれ」
と言ってきて。
「………………は?」
僕はそう答える以外に反応できなかった。
で、いくらなんでも追い返すのはどうかと思ったし、僕も男の子なので一応話だけは聞いておくことにした。
まず、おっとりした、というよりかはおどおどした印象の女の子が、
「わ、わた、私、如月 弥生と言います……!あ、あの、一目、じゃなかった、ず、ずっと、あなたのころが、好きでした、いや、好きです!結婚してください!」
と、恥ずかしそうにもじもじしながら、飛んでもないことを言った。
次に、人形みたいにきれいな少し冷徹な印象の女の人が、
「私の名は十三夜月 夜闇。昔の縁であなた様にお仕えするよう仰せつかいました。以後、どうぞよしなに」
と、冷静に飛んでもないことを言った。
最後に、ちびっこい、研究者のように白衣を着た頭のよさそうな印象の女の子が、
「ボクは心葉 零。いちおう研究者なんかをやってる。そのせいかこの前助けてくれたお前に興味を抱いてな。無期限で研究させてほしい」
と、えらく尊大に飛んでもないことを言った。
「……え、ええと。まずは整理しようか。如月弥生ちゃんは僕と結婚したくて来て、十三夜月夜闇さんは僕に仕えたくて来て、心葉零ちゃんは僕を研究したくて来た、ってこと……?」
え、ええ?なにそれ。
そりゃ僕だって男の子だよ?こんな風にいきなり女の子が押し掛けてくる夢想をしなかったってわけじゃないし、結構頻繁にしてた気がする。
でも、この状況は僕の望んでたのとはちょっと違うような……?
「あ、あ、あ、ああの!わ、私、家には『尼僧になる』って言って出てきちゃったんで、帰れないですけど、ここに住んで、いいですか……?」
「私はすでに『月』からこちらに降りて来た身。もう帰るところなどあなた様以外にはありませぬ」
「ちなみにボクは研究所から抜け出て来たからね。しばらくかくまってくれたら嬉しいな」
さらに、追い打ちをかけるような三人の言葉。
え、ええと!?
一体何が!?
ていうか、どうしてこんなことに!?
いったい――
ガチャ。
いま、聞こえてはいけない音がしませんでしたか?
「お~い、四季!そろそろ干上がってんじゃないかって、この優しい間宵様が食事を運んできてやったぞ!喜べ!
なあ、聞いてくれよ、今日はどうも野菜が少なくてな、相対的に肉の方が多くなっちまったんだよ。まあ、けっしてお前のためにわざわざ肉を買い足した、なんてことはなくな、ただ野菜が少ないから肉が多く感じるだけ……なん………だ…………よ?」
……ああ。
「あの、お優しい間宵様?」
なんで、そんなに肩を震わせておられるのでしょうか?
「……なんだ、四季。遺言、か?」
なんで、そんなに女子高生が発するべきでない殺気を発しているのでしょうか?
「あ、危ない、四季君!」
「何奴」
「誰だ!?」
弥生ちゃん、夜闇さん、零ちゃん、三人がほぼ同時に僕を守ろうと背中にかばった。
「……オーケー、オーケー。理解したぜ、四季。たしかその妙にきょどってんのが今日私と四季が助けたクラスメイトだな? そんで、隣にいるメイド服の奴は確かナンパされてた奴だ。な、そうだろう? で、その隣のちびっこいのが黒服に襲われてたやつだ。……へえ、そうかそうか。今日助けた奴みんなてめえんとこに転がりこんだか。そうかそうか。そんで、てめえは受け入れた、と。……へえ。
てめえに自殺願望があるとは思わなかったぜ!!」
空手、剣道、柔道、合気道、合計一五段。
格闘面では学校一を誇る東堂間宵ちゃんの鉄拳が、僕ら三人をまとめて吹き飛ばした。
怒った間宵ちゃんは、冗談抜きで怖い。
気を失う前に思ったことは、それだけだった。
こんにちは!作者のコノハです!
今日から始まるラブコメディ、『三人のフィアンセ!?』です。
とまあ、現段階ではフィアンセ一人しかいないんですけどね。
まあ、『!?』ですからいいんです。
楽しんでいただけたでしょうか?きっと楽しんでいただけたと信じています。
では、駄文散文失礼しました!
ご愛読感謝!
では次回!