表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

漆黒4

文章の表現を一部変えています。

無事にマエリアとの交際を始めた俺は、すぐにビジュリア家の両親と兄弟達にマエリアを紹介した。


「マエリア=アビランテに御座います」


綺麗な淑女の礼の後、微笑んだマエリアに父と兄と弟が…堕ちた。男どもを一気に引き付けたマエリアだったが、中身はおっとりとした心優しい女性だ。


今度は母上に優しい笑みを向けた。手には可愛らしい包装の小瓶が一つ。


「伯爵夫人、本日はフートロザエンド王国でしか手に入らない希少価値の高い果肉から抽出しました香油をお持ちしましたの。フートロザエンド王国の王女殿下もご愛用でして…来年の輿入れの際にシュリツピーア王国での流通が始まる予定ですが、お先に伯爵夫人にお使い頂きたく…」


上手い!と、言ってもマエリアの場合は計算している訳ではない。ハラシュリア様に手土産はこれにしろ!との指示の元この香油を渡されて、入手困難の希少品で流通前だと伝えてね!と言われたのをそのまま伝えているだけなのだ。


計算づくで打算だらけで腹黒いのは……全てハラシュリア様だ。さすが、未来の国王妃。


そう…マエリアは外見的にはエロいので女性から敵視されてしまいがちだが、一度彼女の心根を知れば…


「まあ…そう…オホホ…」


「夫人にとてもお似合いです、フフフ…」


流行に敏感で、限定品に滅法弱い母上がマエリアに…堕ちた。俺の乙女は人たらしだな。


俺の実家の了承は得られた。フリデミング殿下とハラシュリア様のご推薦のフートロザエンド王国の伯爵令嬢、家柄も問題無い。結果、マエリアと対面をした両親からは早くフートロザエンド王国のアビランテ伯爵家に挨拶に行け!と急かされるぐらいだった。


さてという訳でフートロザエンド王国に赴いたわけだが……いきなりフートロザエンドの王族の皆様と謁見させられた。


兎に角一言で言うと、フリデミング殿下のご兄弟は何というか…圧が凄い。


賢王圧とでも言うのか…フートロザエンド王国の国王陛下、サイフェリング陛下御年20才、ライトミング第二王子殿下御年19才、ケールミング第三王子殿下17才がずらりと揃っている。


確か…この第二王子殿下が強いんだっけ…だろうなぁ~という魔圧を感じる。恐ろしいけど、護衛泣かせだな。自分より強い主人の護衛って下手をすれば護衛の方が足手まといになりそうだ。


「フリデミングから聞いている、マエリア=アビランテ伯爵令嬢とステファン=シガリー侯爵子息との婚約破棄に関する案件だな」


俺と共にサイフェリング陛下の前に膝を突いていたマエリアは男の名前を聞いて体を強張らせていた。


「ああすまない、短慮だったな…仮にその男の名を『クソ』と呼ぼうか。そのクソは未だ持って、マエリア=アビランテ嬢とは婚姻をしていると周りに吹聴して回っている。おまけに親の侯爵までもが婚約破棄の正式な誓約書に署名までしておきながら、伯爵位から高位貴族に対して不敬な振舞いだ…とか何とか言い出してアビランデ伯爵に難癖をつけている。正直クソの親もクソだ」


ポカンとしてしまう。フリデミング殿下とシュリツピーア国王陛下にそっくりなフートロザエンド国王陛下は…とんでもなくざっくばらんなお方のようで、隣に立っている第二王子殿下と第三王子殿下もニタニタ笑って聞いている。


「兄上、口が悪すぎ…」


フリデミング殿下が何でもないようにツッコミを入れているけど、一応国王陛下だけど…大丈夫ですか?


「アビランデ伯爵はコーヒルラント公爵の親戚筋だ…俺の妃の実家を馬鹿にしているも同じだ、それ相応の罰と報復をしなければならん…勿論簡単な方法ではすまさない」


何だか国王陛下なのに悪党の頭みたいに見えてきたな…悪巧みしている顔が綺麗なのに凶悪だ。


「そんな馬糞以下の奴なんて王宮の物見塔から逆さに吊るしてやればいいんだよ!」


うわっ…ライトミング殿下の方が更に口が悪い。これはこの男兄弟に囲まれてしまったらフリデミング殿下が子供らしからぬ子供に育ってしまっても仕方ない感じだ。


「いきなり吊るしたとて、本人に心からの謝罪の気持ちがなければ意味がないよ。謝っても許されるものではない所業だと自覚させなきゃ意味がない」


そう淡々と話す、第三王子殿下のケールミング殿下…この方が一番冷静なようだ。


四兄弟とも個性的だな…とポカンとした顔で美形王子殿下達を見ていると


「取り敢えず作戦は後日練ろう。今日は散開だ!」


と、サイフェリング陛下が合図をしたら、殿下方はゾロゾロと謁見室から出て行ってしまった。


「行くぞ、ルベル、マエリア」


フリデミング殿下が声をかけてくれたので、立ち上がるとハラシュリア様がマエリアの傍にすぐ来て


「マエリア~ジュリアーナ妃殿下がお会いしたいって~」


と囁いた。マエリアとハラシュリア様はジュリアーナ妃殿下とお茶会をされるらしいので、俺はフリデミング殿下と、話がある…と言うサイフェリング陛下と共に客間に移動した。


客間に入るなり、人払いをされたサイフェリング陛下は


「婚約誓約書を書いてきたか?」


とフリデミング殿下に聞かれた。


あ…あれか、シュリツピーアで俺とマエリアの婚約誓約書を書いたのだ。証明人の署名は国王陛下と国王妃、フリデミング殿下とハラシュリア様の署名まである。

 

フリデミング殿下が頷くと、サイフェリング陛下も頷いた。


「フートロザエンドでも書いておこう。クソ達が騒いだ時に顔に叩きつけてやれ」


「分かった」


面白いご兄弟だな~サイフェリング陛下は腕を組んで目を瞑りながら話を続けた。


「マエリア嬢への暴力は、アビランデ伯爵とコーヒルラント公爵夫人より聞き取りをして、全て把握している。それを踏まえて事件として立件したい所なのだが、目撃者がいないし加害者も否定している…被害者であるマエリア嬢が証言しても彼女の証言のみだ。体に複数個所の傷がある…と聞いているが、その当時ならばなんとかなったかもしれないが数年過ぎているのでな…」


サイフェリング陛下は目を開けると、フリデミング殿下をチラチラ見ている。フリデミング殿下は大きく溜め息をついた。


「それは反対」


「なんだ、フリィ?私はまだ何も言ってないぞ?」


「マエリアを囮に使ってステファン=シガリーをおびき寄せようとか考えてない?反対」


「…じゃあ何か打開案を考えろ、ステファン=シガリーを別件で捕縛出来ないものか…」


別件……


「マエリアではなく私を囮にするのは如何でしょうか?」


「卿をか?」


「ルベルを?言っとくがステファン=シガリーって優男だよ?そりゃパッと見た感じではルベルの顔の方が柔らかだけど、体つきが大人と子供ほど違うよ?ルベルじゃ突いただけでステファン=シガリーの骨を折ってしまう」


そ…そんなに軟弱な男なのか?マエリアの怯えようでもっと大柄な強面を想像していたのだが…


「一人で転んだくせにビジュリア卿に殴られた…と言われても困るしな…この際、遠くから弓矢で射ってみるか?」


「兄上、暫く会わない間に過激な考え方に染まったの?」


サイフェリング陛下はフリデミング殿下の頭を撫でまわしている。


「フリィはすーーぐ怒るんだからな~」


フリデミング殿下は口を尖らせている。


「冗談は置いておいて…実はマエリア嬢とビジュリア卿を滞在中に国王主催の夜会に招待しようと思う。そこにステファン=シガリーも招待しようかと思うが、囮はふたりで分担はどうだ?勿論、マエリア嬢の護衛はビジュリア卿がするだろう?それ以外にも護衛はつけるし…ステファン=シガリーが暴れてくれれば、公に捕縛出来て万々歳なのだがな、上手くいくかな?」


そう聞いてきたサイフェリング陛下はフリデミング殿下を見ているが、殿下は首を捻っている。


「それだけでは弱いかな…決定的に煽る要素がなければステファン=シガリーが動かないのでは?」


「ならば答えは簡単だ…これほどに目立つ容姿のビジュリア卿とこれまた目立つ容姿のマエリア嬢との美男美女同士だ。夜会までの数日の間に町に出て買い物をし…茶会に出て散々目立って煽ってくればいいだろう?」


陛下は簡単に言うけど悪目立ちし過ぎて、別の変なモノをおびき寄せそうな気がするのだが…


「なんだ?不服か?公にマエリア嬢に引っ付いて回れるし、演技と称して体を過剰に寄せ合っても誰にも文句は言われないぞ?」


「やります」


サイフェリング陛下の魔の囁きに屈した瞬間だった。この国王陛下は悪い囁きがお上手だ。


「ルベル誘惑に弱すぎっ!」


とフリデミング殿下に罵られたけど、ハラシュリア様に叱られずにマエリアに引っ付いていられるなら、囮だって演技だって頑張りますので、大目に見て下さい。


次の日からマエリアと俺は特別休暇扱いになって夜会に出る為の買い物と称して街に出たり、ドレスを買いに出かけたり…を決行することになった。


俺はハラシュリア様に『攫って騎士様』の小説をお借りして、腰に来る甘い台詞とやらの研究をしている。つまり人目につく所でマエリアと睦んでいれば、ステファン=シガリーの目に耳に入るはずだ。


大袈裟に甘い言葉をかける……俺には中々に厳しいな。やはりマエリアには先に事情を話しておいた方がいいよな。


フリデミング殿下に許可を貰い、ハラシュリア様とマエリアに事情を話した。


「もーーーっ!サイフェリング陛下はいつも無茶振りばかりするんだから!付き合うこっちの身にもなれって言うんだ!」


…話を聞き終えた瞬間、ハラシュリア様が発せられた言葉にギョッとした。


ハラシュリア様が不敬過ぎて恐ろしい。フリデミング殿下はシラッとして何も聞いてません、というような表情だし、侍従のフーレイさんもメイドのタフネ女史も動じていない。


「でぇ~ルベル卿はあま~い言葉をマエリアに連発しながら人目を引く作戦を決行するという訳ね」


「はぁ…そうなりそうです。マエリア、悪いけど暫く共に行動して見せつけるような行動ばかりすることになるが宜しく頼む」


「はっはいっ!此方こそ…」


「ねぇねぇ?それはそれとしてどんな感じで甘い恋人同士、婚約者同士を演出するの?」


ハラシュリア様が身を乗り出して聞かれてきたので、攫って騎士様の小説の一文を思い出しながらマエリアを見た。


「貴女が欲しくて疼くこの体を鎮める為に…もっと貴女に近付いても構わないか?」


「きゃああ!」


「んぎゃああ!」


マエリアの可愛い叫びと小動物の断末魔?が聞こえた。


断末魔らしきものを叫んだハラシュリア様はハァハァ言いながら


「それは『攫って騎士様~漆黒の獣は夜の帳と共に~』の遠征から戻り、主人公の体にむさぼりつこうとしたグーテレオンド様の言葉ねぇぇ!?」


ハラシュリア様が鼻息荒くそう聞いて来るが、小説の中のグーテレオンド様?の台詞だけを丸暗記しているだけだ。


「今ので良かったのでしょうか?」


そう聞くとハラシュリア様がソファの上に立ち上がった。お行儀が悪いですよ!?


「流石っルベル卿ね!その感じで頼むわっ!」


その感じ…がどんな感じなのか分からないし、何故ハラシュリア様に頼まれるのかも分からない。マエリアを見ると、目を潤ませて俺を見ているので甘い台詞はそれなりに効果的だったようだ。


隣に立つマエリアに少し近づくと


「今の台詞良かった?」


と、聞くとマエリアは真っ赤な顔をして頷いていた。


よし…この路線で行こうか。


ざまぁまでの前置きが長いです…すみません

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ