こんな転生は嫌だ! ヒヨコの場合
コメディに挑戦!
面白くなかったらゴメンね!
ガタガタッ
その音で僕は目を覚ます。
ああ、電車に乗っているうちにうたた寝してしまったらしい。最寄り駅通り過ぎてへんよな…?そう思いながら目を開けると…
目の前には等身大のヒヨコが。
え?
あまりに想像の斜め上を行き過ぎて固まるしかない。
ヒヨコ?ヒヨコなの?
…でかすぎへん?
そんな僕の疑問に構わず、目の前のヒヨコが言う。
「目が覚めた?」
追い打ちをかけられた。
あいむふりーじんぐなう.
「大丈夫?」
……(フリーズ中)
「大丈夫?なんか変だよ?」
「おかしいのはお前や〜〜!」
思わずツッコむ。いやおかしいやろ!
「なんでヒヨコが喋ってるん!いやそれ以前に、なんでJR神戸線乗ってて少し寝たら等身大ヒヨコが目の前に現れるん?意味わからんわ!」
「ヒヨコなんだから喋るでしょ?生まれたてだから混乱してるの?いや列車事故に付随する記憶障害かな?」
「いやヒヨコは喋らんわ!何を当たり前な顔してん!酷い言い方しおってからに」
「そういう自分も喋ってるじゃん」
「そりゃ喋るわ、人間だも…の?」
ん?
「なんでこんな黄色い毛生えてるん?」
「そりゃあヒヨコだからね」
「え?え?ヒヨコ?チョットナニイテルノカワカリマセン」
「なにまたフリーズしてんの?私達はヒ・ヨ・コ!アーユーオッケー?」
「チョットナニイ…」
「(ニチャー^^)」
「ア、ハイ。ボクヒヨコ。ゼロサイデス。」
「やっと分かったか」
「ヒヨコ…?」
「まったく、元ニンゲンの癖に転生耐性ないのか。他の奴らはすぐ把握したぞ?」
「テンセイ…?」
その時天から光が!
「あー、さっきからヒヨコがピヨッピヨうるさいなぁ。下ろした振動で興奮したのかな?」
「ピヨッ(誰や?)」
「ピヨピヨ(飼い主だよ)」
「ピヨッ(マジま?)」
「ピ(マジま)」
「あーうるさい、しばらく置いとこ。」
闇の帳が降りてきた。 *主人公は厨二です。断じて作者ではありません。
「飼い主の頭が発光源やww」
「…言ってあげるなww」
「それはともかくヒヨコに転生したの?」
「あんたも私もね」
「I get it.(なるほど)」
「唐突な英語」
「ちゃんと英語喋れること主張したくて」
「確かに発音はきれいだったけれども」
「Hello!Are you also a reincarnated person?(あなたも転生者ですか?)」
「ファ?Y,yes.」
「他にも転生者がいるのよ、というかこの箱ん中の全員が」
「I knew.(知ってた)」
「そうなの!?では皆さん、前世は何でした?」
「Interpreter(通訳)」「獣医」「老人」「社畜」「放火魔」「ナン」「ネコ」「ニワトリ」
「ツ、ツッコミどころ多すぎてツッコめへんしそこのネコはニワトリを見て涎を垂らすな」
「seyana」
「おい通訳、パクリはダメだぞ、というか日本語喋れたんかい!」
「パクリという犯罪は炎上させてしまえ」
「黙れ放火魔、ゼェーハァー」
「仲間ができた(喜色満面)」
「ゼェ、一緒にするんじゃねえ社畜、僕は…」
「ピヨ?」
瞬間、その場の空気が凍りつく。
僕たちは気づいてしまったのだ、それが放火魔のヒヨコの声だったことに…。
「ほ、放火魔?」
「ピイ?」
ダメだ完全にヒヨコ化している。え?もともとヒヨコだった?
にわかに皆の緊張感が増す。
いきなり放火魔の知能がヒヨコになったのだ。次は自分かもしれない。
「放火魔は何をしたんだ?」
「通訳たる僕に火をかざして燃やそうとしてきたんだ…」
「物騒だなおい、ひよ子になるじゃないか。というか火はどこから来た」
「知らぬ」
「放火魔に訊くかぁ……あ、ヒヨコ化してたんだった」
「君、鳥頭過ぎ…」
「「「「「「「!?」」」」」」」
「それだ!皆ヒヨコになって鳥頭になったから、3歩歩くと前世の記憶が消えるんだ!」
「…何だと?」
「ナンですと!?」
「絶対それ言いたかっただけだろ、というか転生して最初に話したのナンかよ」
「ナンですと?」
「あー、はいはい」
「とりあえず梃子でも動かないようにすれば記憶を消失しなくて済むんじゃないかね?」
「然り」
「ピヨ」
~数分後~
「やっとヒヨコ共は落ち着いたか」
飼い主がヒヨコ達の入ったダンボールの蓋を開ける。
そこには身じろぎせず直立する8匹のヒヨコと、ピヨピヨ鳴く1匹のヒヨコ(元放火魔)がいた。
「とりあえず餌やるか」
パンくずが投げ込まれる。
腹減ったけれど食べるものか。これは食べている内に3歩歩いてしまうという恐ろしき罠だ。皆食べないように…
あ、ニワトリだったヒヨコが勢い良く飛び出していった。3歩歩いた。知能までヒヨコ化してしまった。
<ニワトリ、アウトー>
でも待てよ、知能がニワトリからヒヨコって大して変わらないのでは?
僕がそんな事を考えている間もヒヨコ(元ニワトリ)は美味しそうにパンくずを啄む。
めっちゃ美味しそうに食べてるからますます腹が減ってきた。でも食べないぞ…。
あ、ネコが飛び出した。3歩歩いた。知能がヒヨコ化…。
<ネコ、アウトー>
ネコまで真ヒヨコの仲間と化してしまった。
ネコヒヨコも美味しそうにパンくず食べるなー。横でナンがプルプルと震えている。マズイかもしれない。
あぁ、ナンまで飛び出してしまった。パンよりナンって叫んでいる。3歩歩いて知能がヒヨコ化、真ヒヨコ一丁上がり。…真ヒヨコって何?
<ナンアウトー?>
3アウト、チェンジ!…って違う違う。
それにしても餌やりで仲間を3匹も堕とすとは恐るべし、飼い主。いや、あの3匹がひよっこだっただけか?
「今回のヒヨコは動きが鈍いな、心配だ」
うんやっぱ飼い主が黒幕だ。全員を歩かせて記憶を消すつもりだ。 *違います。
「まあいいや、さっさと雌雄判別してしまおう」
飼い主がそういった途端、獣医ヒヨコの顔が青くなる。いや、黄色と混ざって緑色かな?
[悲報]ヒヨコ、エイリアン化
獣医ヒヨコを見つめると、「恥だ」とブツブツ言っている。え?たかが雌雄判別よ?
はじめに通訳ヒヨコが掴まれ、尻穴を見つめられる。尻穴!?何、尻穴で判別するの?
通訳ヒヨコも緑色になっている。多分僕も緑色だろう。
[悲報]エイリアンなヒヨコ、増殖中
雌雄判別で♀と判断された通訳ヒヨコは、箱に戻されるとセクハラだと呟きながらよろめいて3歩歩き真ヒヨコと化した。
<Interpreter,out!>
やばい、飼い主が手強すぎる!老人ヒヨコが黄色なのが不思議なくらいだ。
あ、恐怖に固まっている獣医ヒヨコが掴まれた。獣医ヒヨコがもはや苔玉にしか見えないくらい緑に染まっている。
あっ、飼い主の視線が獣医ヒヨコの尻穴に注がれた瞬間、飼い主の目に蹴りがクリーンヒット!あれは痛い。
「痛っ」飼い主が叫んで獣医ヒヨコが落ちてくる。それを眺めていたせいで迫る危機に気付かなかったのは僕の落ち度だっただろう。
老人ヒヨコの警告を聞いた時はもう手遅れだった。飼い主がダンボールを蹴りやがったのだ。
残る4匹のヒヨコは箱の中でよろめき、3歩歩いてしまった…。
<学生,獣医,老人、アウトー>
「あっ、しまった!ダンボール蹴ってしまった!ヒヨコがまた興奮したよ…。あれ、さっきより鳴き声うるさいな?まあいいや、また少し待ってから続きをやろう。」
「僕のようにおとなしく服従しないから自我が壊れるのだよ…」
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評価してくれないとヒヨコにしちゃうぞ?(謎)